建具工事業は、建物などに木製・金属製の建具等を取り付ける工事の業種です。サッシ、シャッター、自動ドア、木製建具などの取付けが該当します。
建具工事を請け負う場合は、原則として1件の請負代金が500万円以上(税込)になるかどうかが許可の要否を判断する基準です。元請・下請のどちらにも関係する基準であり、附帯工事に該当する場合の取扱いは後述します。
初めて許可を取得する方は建設業許可の新規申請、既に他業種の許可をお持ちの方は建具工事業の業種追加も併せてご確認ください。
建具工事業の工事範囲と具体例
建具工事業は、建設業許可29業種のうち専門工事に分類される業種です。まず、29業種の一覧で位置づけを確認します。
建設業許可29業種の一覧
建具工事業は、建具の取付けを内容とする専門工事の許可です。建築一式工事の許可を持っていても、建具工事を独立して請け負う場合に、その許可で代用できるわけではありません。
建具工事業 → 木製・金属製の建具等を取り付ける専門工事

建具工事業に該当する主な工事
建具工事の代表例は、次のとおりです。製品の材質や呼び名だけではなく、実際に請け負う取付け工事の内容を確認します。
建具工事業(建具工事)の専門工事の例
- 金属製建具取付け工事
- サッシ取付け工事
- 金属製カーテンウォール取付け工事
- シャッター取付け工事
- 自動ドアー取付け工事
- 木製建具取付け工事
- ふすま工事 等
建具工事業の許可が必要になる金額
建具工事では、1件の請負代金が500万円未満(税込)の軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、原則として建具工事業の許可が必要です。500万円ちょうどの場合も許可が必要となる側に含まれます。
施主から直接請け負う場合だけでなく、工務店や建設会社から下請として請け負う場合も同じです。なお、許可業種の工事に附帯する工事を請け負う場合は、後述する附帯工事の取扱いを確認します。
一般建設業と特定建設業の違い
建具工事を発注者から直接請け負い、その工事について下請に出す代金の総額が5,000万円以上(税込)となる場合は、特定建設業の許可が必要です。これは、工事そのものの受注金額が5,000万円以上かどうかを基準にする制度ではありません。
建具工事業と他の工事業種との区分
建具工事の基本的な内容は、工作物に木製又は金属製の建具等を取り付ける工事です。次の説明は、国土交通省が示す各業種の工事内容・工事例を基に、区分を確認するポイントを整理したものです。複数の工事を組み合わせる場合は、契約書・見積内訳・図面などで請負内容を確認します。
ガラス工事業との違い
ガラスの加工・取付けを行う工事はガラス工事の例です。一方、サッシの取付けは建具工事の例です。「窓工事」という名称だけでまとめず、ガラスの取付けとサッシの取付けを含む請負範囲を確認します。
内装仕上工事業との違い・ふすま工事の扱い
天井・壁・間仕切りなどの内装仕上げ工事と、建具の取付け工事を区別します。ただし、ふすま工事は国の工事例で建具工事と内装仕上工事の双方に挙げられているため、「ふすま」という名称だけで一律に区分しません。
大工工事業・鋼構造物工事業との違い
木材の加工・取付けによる工作物の築造や木製設備の取付けは大工工事の内容ですが、木製建具の取付けは建具工事の例に挙げられています。木製であることだけで大工工事と判断するものではありません。
金属製建具、サッシ、金属製カーテンウォールの取付けも建具工事の例です。鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して請け負う鋼構造物工事とは区別し、金属製であることだけで鋼構造物工事と判断しないようにします。
自動ドアの取付けと電気工事
自動ドアー取付け工事は建具工事の例に含まれます。電源配線などの工事を併せて請け負う場合は、その電気工事の範囲と、附帯工事に該当するかを別に確認します。
500万円の判定で確認する材料代・支給材料など
許可が必要かを判断する際は、取付けの手間代だけでなく、サッシや建具などの材料を含む契約内容を確認します。請負代金に含める金額や支給材料の扱いは、次の説明をご確認ください。
注文者が材料を提供する場合は、請負代金にその材料の市場価格及び運送費を加えた額で、軽微な建設工事に該当するかを判断します。
※建設業法施行令第1条の2
「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、建設業許可は不要です。
「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が、
①「建築一式工事」にあっては、1,500万円(税込)に満たない工事、または延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
②「建築一式工事以外の建設工事」にあっては、500万円(税込)に満たない工事です。
なお、この請負代金の額の算定にあたっては、以下の点に注意が必要です。
ア)2以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割した場合を除き、各契約の請負金額の合計額
イ)注文者が材料を提供する場合は、その材料費等を含む額
ウ)単価契約とする場合は、1件の工事に係る全体の額
エ)消費税及び地方消費税を含む額
※建設業法施行令第1条の2
附帯工事の説明
許可を受けた業種の建設工事に従として附帯する、他の業種の建設工事を「附帯工事」といいます。附帯工事に該当する場合は、主たる工事の許可により一体として請け負うことができます。ただし、別業種の工事を同じ契約にまとめただけで、必ず附帯工事になるわけではありません。
ただし、「附帯工事」(軽微な建設工事を除く)を請負業者が自ら施工する場合は、当該業種の資格等を有した「専門技術者」の配置が必要となり、また、自ら施工しない場合はその許可を持った建設業者により下請施工させなければなりません。(建設業法第26条の2第2項)
附帯工事に該当すれば、主たる工事の許可で一体として請負い可能
ただし、自ら施工する場合などの技術者・施工体制の要件は別途必要
附帯工事か否かの判断基準
建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり、一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かが総合的に検討されるもので、主たる工事と当該工事との工事費の多寡によって定まるものではありません。
それぞれの工事が独立の使用目的に供されるものは、「附帯工事」とはいえないため注意が必要です。

附帯工事であれば一体として請け負っていいのね。



附帯工事であれば、許可を受けていない業種の建設工事であっても請け負うことができます。
附帯工事の注意点
建具工事に附帯する他の専門工事が軽微な建設工事に該当しない場合(原則として1件500万円以上・税込)は、当該工事の主任技術者の資格を有する専門技術者を配置して自ら施工するか、その業種の建設業許可を受けた建設業者に施工させる必要があります。
- 石工事業者が石垣を築造するにあたって基礎部分の掘削やコンクリート工事を施工する場合
- 管工事業者が、既存の建物に冷暖房工事の配管をするに当たって、壁体をはつったり、熱絶縁工事をしたり、施工後に内装仕上工事をする場合
- モルタルの補修のための下地を修正することは大工工事に該当するが、この工事は左官の目的のための附帯工事であるため、大工工事業の許可を受けていなくても、左官工事業の許可を受けていればよい。
- 管工事(エアコン設置工事)の施工に伴って必要を生じた電気工事
- 屋根工事の施工に伴って必要を生じた塗装工事
- 電気工事の施工に伴って必要を生じた内装仕上工事(壁の一部貼り替えなど)



何が主たる工事になるのか、それによって取得する建設業許可業種が決まってきますね
建具の製作・販売だけの場合と取付け工事の違い
建具の製造・販売だけで工作物への取付けを請け負わない場合と、現場での取付けを含む場合は区別します。建具を製作して現場に取り付ける仕事を、「製品販売」という名目だけで建設工事ではないと判断することはできません。
点検・清掃だけの業務と、建具やサッシの交換・取付けを伴う工事も、作業内容を確認して分けて考えます。契約名や請求書の名目ではなく、実際の業務内容を基に判断することが大切です。
建具工事業の営業所技術者等の資格・実務経験
旧称の「専任技術者」は、一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」と呼ばれ、両者をまとめて「営業所技術者等」といいます。一般と特定では技術面の要件が異なります。
資格や実務経験の要件だけでなく、原則として当該営業所への常勤・専任が求められます。現場技術者との兼任には別途要件があるため、資格を持っていればどの営業所・現場でも自由に兼任できるわけではありません。
制度全体や配置の考え方は、営業所技術者等の資格・実務経験・専任性の解説をご確認ください。
一般建設業の営業所技術者
主な要件は、指定学科と建具工事の実務経験、建具工事の実務経験10年以上、又は対象資格・認定等のいずれかです。
学歴と実務経験を有する者(法第7条第2号イ)
- 指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
-
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
学歴 指定学科の卒業 実務経験業種 卒業後の実務経験年数 高校 必要 許可の該当業種 5年以上 大学 必要 許可の該当業種 3年以上 - 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
-
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校卒業後5年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者のうち、専門士又は高度専門士を称するもの
学歴 指定学科の卒業 実務経験業種 卒業後の実務経験年数 専門学校 必要 許可の該当業種 5年以上 専門士又は高度専門士 必要 許可の該当業種 3年以上
建設業法施行規則第1条で規定されている学科で、建設業の種類ごとにそれぞれ密接に関連する学科として指定されているものです。
建具工事業の場合の指定学科
下記に関する学科が該当となります。
- 建築学
- 機械工学
実務経験10年以上の者(法第7条第2号ロ)
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
| 学歴 | 指定学科の卒業 | 実務経験業種 | 実務経験年数 |
| 不問 | 不問 | 許可の該当業種 | 10年以上 |
資格・認定等で要件を満たす場合(法第7条第2号ハ)
建具工事業で対象となる主な資格と、追加で必要になる建具工事の実務経験を次に整理します。下表の「追加の実務経験は不要」は、営業所技術者の技術資格要件に関する説明であり、建設業許可の他の要件まで不要になるという意味ではありません。
| 資格・認定等 | 一般建設業で必要な建具工事の実務経験等 |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士 2級建築施工管理技士(仕上げ) | 追加の実務経験は不要 |
| 1級建築施工管理技士補 1級管工事施工管理技士・技士補 | 対応する技術検定の合格後に、建具工事の実務経験3年以上 |
| 2級建築施工管理技士(建築・躯体) 2級建築施工管理技士補 2級管工事施工管理技士・技士補 | 対応する技術検定の合格後に、建具工事の実務経験5年以上 |
| 技能検定1級:建具製作・建具工・木工・カーテンウォール施工・サッシ施工 | 追加の実務経験は不要。旧職種・選択科目については下記の注意事項を確認 |
| 技能検定2級:建具製作・建具工・木工・カーテンウォール施工・サッシ施工 | 合格後に建具工事の実務経験3年以上。ただし、平成16年4月1日時点で合格していた者は実務経験1年以上 |
| 登録サッシ・カーテンウォール基幹技能者 | 対象となる講習の修了と、建具工事の実務経験10年以上。講習修了証で対象業種も確認 |
技士・技士補の3年・5年の取扱いでは、対応する第一次検定又は第二次検定の合格日と、その後の建具工事の経験を確認します。管工事施工管理技士の資格を使う場合も、求められるのは管工事ではなく建具工事の実務経験です。
技能検定の旧職種「木工」は、昭和48年改正後の区分では選択科目が「建具製作作業」のものに限られます。旧資格は職種・等級・選択科目・合格時期を合格証書で確認します。
このほか、所定の職業訓練や個別認定等によるルートもあります。資格名だけで判断せず、静岡県が公開する有資格コード一覧で建具工事業に対応する区分を確認します。
特定建設業の特定営業所技術者
建具工事業は指定建設業7業種には含まれないため、資格による方法のほか、一般建設業の要件と指導監督的実務経験を組み合わせる方法があります。
| 要件の区分 | 建具工事業で確認する内容 |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士 | 資格により技術資格要件を満たします。下記の指導監督的実務経験2年以上は不要です。 |
| 一般建設業の営業所技術者の要件+指導監督的実務経験 | 一般建設業の要件に該当し、かつ、発注者から直接請け負った1件4,500万円以上(税込)の建具工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有すること。 |
| 国土交通大臣の認定 | 建具工事業について、上記と同等以上の能力がある旨の認定を受けていること。認定書の内容・対象業種を確認します。 |
指導監督的実務経験とは、工事の技術面を総合的に指導監督した経験です。単なる担当工事や下請工事での経験とは異なるため、契約関係、請負代金、実際に指導監督した期間・立場を資料で確認します。
2級建築施工管理技士(仕上げ)、各技士補、技能士、登録基幹技能者などは、それぞれの一般建設業の要件を満たすことに加え、上記の指導監督的実務経験が必要となるルートで検討します。資格を保有しているだけで、特定建設業の要件を満たすとは限りません。
静岡県で建具工事業の新規許可・業種追加をお考えの方へ
行政書士事務所敷地では、静岡市を拠点に静岡県内の建設業許可申請に対応しています。サッシ・シャッター・木製建具などの施工内容、候補者の資格・実務経験、現在の許可業種を確認し、申請区分と必要書類を判断したうえで、申請書類の作成・提出を行います。
まだ建設業許可をお持ちでない方は、建設業許可の新規申請の要件・手続き・費用をご確認ください。営業所技術者等だけでなく、経営業務の管理体制、財産的基礎、必要な社会保険への加入なども確認します。
既に他業種の許可をお持ちの方は、建設業許可の業種追加の要件・必要書類・費用をご確認ください。既存の営業所技術者等が建具工事業の要件も満たせるか、別の候補者が必要かを確認します。現在の許可と取得する許可の一般・特定の区分によっては、「般・特新規」など別の申請区分となる場合があります。
ご相談の際は、現在の許可通知書、資格証、工事内容の分かる見積書や契約書など、お手元にある資料をご用意ください。個別のご相談はお問い合わせフォームからご連絡ください。
参考にした公的資料
制度・資格の記載は2026年9月13日時点で確認しています。申請時には、静岡県等が公表する最新の手引き・資格表をご確認ください。
国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」(PDF)
国土交通省「建設業の許可」
国土交通省「許可の要件」
静岡県「建設業許可」(訂正後の有資格コード一覧の案内)
静岡県「有資格コード一覧(一般建設業)」(PDF)
静岡県「有資格コード一覧(特定建設業)」(PDF)
国土交通省「実務経験による技術者資格要件の見直し」(PDF)

