建設業許可の取得・更新にあたっては、社会保険等(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入状況が確認されます。
特に、法人の事業所や、個人事業でも常時5人以上の従業員を使用する場合は、原則として健康保険(被用者保険)への加入が必要になるケースが多く、注意が必要です。
加入義務があるにもかかわらず未加入の場合、申請時に必要となる加入状況の証明書類を提出できないため、補正(是正対応)が必要となり、補正が完了するまで申請・更新手続は受理(審査)されません。
この記事では、建設業許可と健康保険の加入義務の関係を、建設業者の方向けに分かりやすく整理して解説します。
このような方に向けた記事です
- 健康保険とは何か知りたい
- 自社(法人/個人事業)が健康保険に加入すべきかを知りたい
- 従業員(正社員・パート等)の加入の考え方を知りたい
- 建設業許可の手続で、健康保険の扱いがどう見られるか知りたい 等
建設業許可に必要な「社会保険等(健康保険・厚生年金・雇用保険)」の全体像は、こちらの記事でまとめています。

健康保険とは?
健康保険(医療保険)は、病気やケガで医療機関を受診したときの医療費負担を軽くするための制度です。日本では、すべての人が何らかの医療保険制度に加入します。
加入先は大きく分けると、次のように整理できます。
| 分類 | 健康保険の種類 |
| 会社員等 | 協会けんぽ 組合健保 共済組合 など(被用者保険) |
| 自営業者等 | 市区町村の国民健康保険 国民健康保険組合 など |
| 75歳以上 | 後期高齢者医療制度 |
※上記の分類には細かな例外はありますが、ここでは省略します。
職場の健康保険(被用者保険)とは?
厚生年金と同様に事業所単位の健康保険(被用者保険)があります。
健康保険の適用を受ける事業所を適用事業所と言いますが、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。
強制適用事業所は、従業員の意思に関係なく、健康保険への加入が強制される事業所のことです。
具体的には次のいずれかに該当する場合です。
- 常時、従業員を使用する法人の事業所
- 常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所
※個人の事業所には適用除外業種がありますが、ここでは省略します。
法人とは、株式会社、合同会社、有限会社といった会社形態のことです。
建設業でも会社であれば、健康保険への加入義務が生じます。
そして、個人の事業所については、適用対象となる業種が決められていますが、建設業も対象となっています。
そのため、個人事業の建設業で、常時5人以上の従業員を使用する場合は、強制適用事業所になります。
一方、上記以外の事業所でも、従業員が健康保険への加入を希望した場合に日本年金機構に申請することで健康保険に加入できるようになります。これを任意適用事業所と言います。
健康保険(被用者保険)の種類
健康保険(被用者保険)には、いくつかの種類があります。
- 協会けんぽ(全国健康保険協会)
- 組合健保(組合管掌健康保険)
- 共済組合(公務員や私立学校の教職員の健康保険)
- 国保組合(国民健康保険組合)
協会けんぽは中小企業、組合健保は大企業が加入しています。
国保組合は職種ごとに用意されている国民健康保険の組合です。
建設業の場合は、建設国保(全国建設工事業国民健康保険組合)、土木国保(全国土木建築国民健康保険組合)、全建総連(全国建設労働組合総連合)といった国民健康保険の組合があります。
建設業でも、株式会社、合同会社、有限会社といった法人の場合は、協会けんぽや組合健保に加入しなければなりません。
ただ、既に建設国保、土木国保、全建総連などの国保組合に加入している場合は、日本年金機構で「健康保険適用除外」の承認を受けることにより、引き続き建設国保に加入することできます。※各国保組合の判断によります。
例えば、個人事業で法人成りした場合などが代表例です。
健康保険(被用者保険)に加入する義務のある人とは?
健康保険(被用者保険)の適用を受ける事業所で働く75歳未満の方が健康保険の被保険者になります。
具体的には、次のような立場の方です。
- 常用的に使用される人
- パートタイマー・アルバイト等でも常用的使用関係にあり、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である人
建設業の会社で働いている方も、常用的に雇用されている場合は、原則として健康保険に加入する必要があります。
※社会保険の適用拡大により、2024年10月時点では常時51人以上事業所は週20時間以上働き、その他要件も満たした場合は社会保険の加入義務が生じます。
建設業許可と健康保険(被用者保険)の関係
適切な社会保険等とは
現在では、建設業許可を取得するためには、「適切な社会保険等へ加入」していることが条件になっています。
適切な社会保険等とは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険のことです。
厚生年金保険については、こちらで詳しく解説しています。

雇用保険については、こちらで詳しく解説しています。

健康保険の加入状況の確認
建設業許可や更新において、事業所が健康保険(被用者保険)の適用事業所に該当する場合は、健康保険に加入していることの証明書類の提出が求められます。
未加入の場合、許可申請・更新の手続の中で必要書類が用意できていないことを指摘され、書類がないと申請手続きを先へ進められないことを伝えられます。このような状態を補正と呼びます。この補正指示に対応ができるまでは先に進めないということです。対応とは、適切な健康保険に加入しており、その加入している事の証明書を提出する。ということになります。
建設業の会社で、健康保険(被用者保険)の適用事業所となっている場合は、何らかの健康保険に加入しなければなりません。まずは早めに自社の加入状況の確認をおすすめします。
健康保険に加入していない場合は、新規の建設業許可はもちろんの事、建設業許可の更新も受けられないので要注意です。
建設業許可における健康保険(被用者保険)の適用除外とは?
健康保険への加入義務がない建設業者については、「適用除外」として、健康保険の部分については「適切な社会保険」に加入しているとみなして、建設業許可の申請や更新を受け付けてもらえます。
健康保険で適用除外となるのは次の場合です。
- 常勤の雇用従業員が4名以下の個人事業所(家族労働者、短期労働者を除く。)
- 「健康保険適用除外」の承認を受けて国保組合に加入している事業所
これ以外の建設業者はすべて、協会けんぽ等の健康保険に加入する必要があります。
株式会社、合同会社、有限会社などの法人形態であれば、常勤の雇用従業員が4名以下でも、原則として協会けんぽ等の健康保険に加入しなければなりません。
まとめ
建設業の健康保険は、「法人か個人か」「常時使用する従業員がいるか」「現在どの保険に加入しているか」で整理すると判断しやすくなります。
当事務所は建設業者向けのご支援を中心に取組んでいる行政書士と社会保険労務士の事務所です。静岡県内の建設業者様で、建設業許可の申請・更新にあたり社会保険等の加入状況が不安な場合はご相談ください。
お問い合わせの際は、分かる範囲で (1) 会社形態(法人/個人)(2) 常時使用する従業員数 (3) 現在加入している保険の種類 を添えていただくとスムーズです。
社会保険等(健康保険・厚生年金・雇用保険)の全体像はこちら






