29種類ある建設業許可業種の内の消防施設工事業(消防施設工事)を解説いたします。
建設業許可業種における消防施設工事業(消防施設工事)の位置づけ
建設業許可29業種の中において、消防施設工事業(消防施設工事)がどのような位置にあるのか下記表にてご案内いたします。
建設業許可29業種の一覧表
消防施設工事業(消防施設工事)は、建設業許可29業種のうち専門工事に分類されます。元請・下請を問わず、消防施設工事を請け負う場合は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、消防施設工事業の許可が必要です。
消防施設工事業 → 専門工事 → 元請・下請を問わず、許可が必要な規模の消防施設工事を請け負う場合に必要

消防施設工事業(消防施設工事)の専門工事とは?
建設業許可29業種のうち、土木一式工事と建築一式工事を除く27業種が専門工事です。消防施設工事には、屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、火災報知設備工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・排煙設備の設置工事などがあります。
消防施設工事業(消防施設工事)の専門工事の例
- 屋内消火栓設置工事
- スプリンクラー設置工事
- 水噴霧による消火設備工事
- 泡による消火設備工事
- 不燃性ガスによる消火設備工事
- 蒸発性液体による消火設備工事
- 粉末による消火設備工事
- 屋外消火栓設置工事
- 動力消防ポンプ設置工事
- 火災報知設備工事
- 漏電火災警報器設置工事
- 非常警報設備工事
- 金属製避難はしごの設置工事
- 救助袋の設置工事
- 緩降機の設置工事
- 避難橋の設置工事
- 排煙設備の設置工事 等
消防施設工事業(消防施設工事)における元請と下請の考え方
建設業法でいう「発注者」「元請負人」「下請負人」は、日常的に使われる「元請」「一次下請」などの呼び方と対応関係が異なることがあります。まず、それぞれの法令上の意味を確認します。
消防施設工事業(消防施設工事)の発注者とは
建設工事の最初の注文者
消防施設工事業(消防施設工事)の元請負人とは
下請契約における注文者で、建設業者であるもの
消防施設工事業(消防施設工事)の下請負人とは
下請契約における請負人
消防施設工事業(消防施設工事)の下請契約とは
建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者が、他の建設業を営む者との間で、請け負った建設工事の全部又は一部について締結される請負契約
上記の流れを図にしてみると下記となります。世間一般の通称と異なる点と比較してみてください。
| 通称 | 発注者(施主) | 元請業者 | 一次下請 | 二次下請 |
| 建設業法上 | 発注者 | 元請負人 | 下請負人 | |
| 元請負人 | 下請負人 |
「元請負人」「下請負人」は固定した会社の呼び名ではなく、それぞれの下請契約における立場を表します。一次下請業者も、二次下請業者へ工事を発注する下請契約では「元請負人」となります。
消防施設工事業(消防施設工事)の業種区分と考え方
消防施設工事業(消防施設工事)が建設業許可ではどのような区分や考え方とされているのかをご案内します。
消防施設工事業(消防施設工事)の建設業の該当業種
消防施設工事業
消防施設工事業(消防施設工事)の建設工事における種類
消防施設工事
消防施設工事業(消防施設工事)の建設工事の内容
- 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置する工事
- 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を工作物に取付ける工事
消防施設工事業(消防施設工事)に求められる特徴
消防施設工事は専門工事のため、元請・下請のどちらの立場で請け負うかは問いません。軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、消防施設工事を請け負うには消防施設工事業の許可が必要です。
なお、建設業法上「軽微な建設工事」に該当して建設業許可が不要な場合でも、消防法上必要となる消防設備士等の資格まで不要になるわけではありません。実際に施工する設備・工事内容に応じて、消防法上の資格要件も別に確認する必要があります。
消防施設工事業(消防施設工事)許可で判断がつきにくい建設工事の区分と考え方
公表されている消防施設工事業(消防施設工事)の考え方の例を下記に記載します。
「金属製避難はしご」とは、火災時等にのみ使用する組立式のはしごであり、ビルの外壁に固定された避難階段等はこれに該当しない。したがって、このような固定された避難階段を設置する工事は『消防施設工事』ではなく、建築物の躯体の一部の工事として『建築一式工事』又は『鋼構造物工事』に該当する。
『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。
注文者が材料を提供する場合は、請負代金にその材料の市場価格及び運送費を加えた額で、軽微な建設工事に該当するかを判断します。
※建設業法施行令第1条の2
「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、建設業許可は不要です。
「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が、
①「建築一式工事」にあっては、1,500万円(税込)に満たない工事、または延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
②「建築一式工事以外の建設工事」にあっては、500万円(税込)に満たない工事です。
なお、この請負代金の額の算定にあたっては、以下の点に注意が必要です。
ア)2以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割した場合を除き、各契約の請負金額の合計額
イ)注文者が材料を提供する場合は、その材料費等を含む額
ウ)単価契約とする場合は、1件の工事に係る全体の額
エ)消費税及び地方消費税を含む額
※建設業法施行令第1条の2
附帯工事の説明
建設業者は、許可を受けた業種の建設工事を請け負う場合、その工事に附帯する他の業種の建設工事も一体として請け負うことができます。これを「附帯工事」といいます。附帯工事を主たる工事と一体で請け負うために、請負業者自身がその附帯工事の業種の許可を別途取得している必要はありません。
ただし、軽微な建設工事に該当しない附帯工事を請負業者が自ら施工する場合は、その業種の主任技術者となり得る資格を有する者を「専門技術者」として配置する必要があります。自ら施工しない場合は、その附帯工事の業種について建設業許可を受けた建設業者に下請施工させる必要があります。(建設業法第26条の2第2項)
主たる工事と一体で附帯工事を請け負うことは可能
軽微でない附帯工事の施工には、専門技術者の配置又は許可業者への下請が必要
附帯工事か否かの判断基準
建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり、一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かが総合的に検討されるもので、主たる工事と当該工事との工事費の多寡によって定まるものではありません。
それぞれの工事が独立の使用目的に供されるものは、「附帯工事」とはいえないため注意が必要です。

附帯工事であれば一体として請け負っていいのね。



附帯工事であれば、許可を受けていない業種の建設工事であっても請け負うことができます。
附帯工事の注意点
軽微な建設工事に該当しない附帯工事を施工する場合は、主任技術者となり得る資格を有する者を専門技術者として配置して自ら施工するか、その附帯工事の業種について建設業許可を受けた建設業者に下請施工させる必要があります。
- 石工事業者が石垣を築造するにあたって基礎部分の掘削やコンクリート工事を施工する場合
- 管工事業者が、既存の建物に冷暖房工事の配管をするに当たって、壁体をはつったり、熱絶縁工事をしたり、施工後に内装仕上工事をする場合
- モルタルの補修のための下地を修正することは大工工事に該当するが、この工事は左官の目的のための附帯工事であるため、大工工事業の許可を受けていなくても、左官工事業の許可を受けていればよい。
- 管工事(エアコン設置工事)の施工に伴って必要を生じた電気工事
- 屋根工事の施工に伴って必要を生じた塗装工事
- 電気工事の施工に伴って必要を生じた内装仕上工事(壁の一部貼り替えなど)



何が主たる工事になるのか、それによって取得する建設業許可業種が決まってきますね
そもそも建設工事に該当しない作業
- 除草
- 草刈
- 伐採
- 樹木の剪定
- 庭木の管理
- 造林
- 除雪
- 融雪剤散布
- 測量
- 設計
- 地質調査
- 調査目的のボーリング
- 保守、点検、管理業務等の委託業務
- 清掃
- 浄化槽清掃
- ボイラー洗浄
- 側溝清掃
- 造船
- 機械器具製造、修理
- 道路の維持管理
- 施肥等の造園管理業務
- 建設機械の賃貸
- リース
- 建売住宅の販売
- 社屋の工事
- 資材の販売
- 物品販売
- 機械、資材の運搬
- 採石
- 宅地建物取引
- コンサルタント
- 人工出し
- 解体工事や電気工事で生じた金属等の売却収入
- JVの構成員である場合のそのJVからの下請工事等
上記の作業は建設工事に該当しないので、消防施設工事業(消防施設工事)のみならずその他の建設工事業種にも該当しません。これらは、兼業の扱いとなり、建設業の完成工事高に含めることもできませんので注意が必要です。
消防施設工事業(消防施設工事)の営業所技術者等の資格要件
消防施設工事業(消防施設工事)の建設業許可を取得する場合は、営業所ごとに消防施設工事業の要件を満たす営業所技術者等を置く必要があります。一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」となり、それぞれ求められる要件が異なります。
一般建設業で消防施設工事業の許可を取得する場合の営業所技術者の要件
学歴と実務経験を有する者(法第7条第2号イ)
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験を有する者
-
- 消防施設工事業に対応する指定学科を卒業し、学歴に応じて3年以上又は5年以上の消防施設工事に関する実務経験を有する者は、営業所技術者の要件を満たす場合があります。
学歴 指定学科の卒業 実務経験業種 卒業後の実務経験年数 高等学校・中等教育学校・専修学校専門課程 必要 消防施設工事業 5年以上 大学・短期大学・高等専門学校・専門学校(専門士・高度専門士) 必要 消防施設工事業 3年以上
建設業法施行規則第1条で規定されている学科で、建設業の種類ごとにそれぞれ密接に関連する学科として指定されているものです。
消防施設工事業の場合の指定学科
下記に関する学科が該当となります。
- 建築学
- 機械工学
- 電気工学
実務経験10年以上の者(法第7条第2号ロ)
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
| 学歴 | 指定学科の卒業 | 実務経験業種 | 卒業後の実務経験年数 |
| 不問 | 不問 | 許可の該当業種 | 10年以上 |
消防施設工事のうち、消防法等により消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事については、必要な免状等を受けた者等として従事した経験に限って、営業所技術者等の実務経験として算入されます。
国土交通大臣が認定した者(法第7条第2号ハ)
国土交通大臣がイ又はロと同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
具体的には、下記の指定された国家資格者の事を指します。
消防施設工事業の営業所技術者となり得る主な資格(一般建設業)
- 甲種消防設備士
- 乙種消防設備士
上記は主な例です。このほか、施工管理技士等の国家資格と一定の実務経験を組み合わせて要件を満たす場合や、国土交通大臣の認定による場合があります。資格ごとの正確な対象業種と必要な実務経験は、静岡県が公開している最新の有資格コード一覧で確認する必要があります。
国家資格だけで要件を満たす場合のほか、資格取得後の実務経験を併せて確認する必要がある場合があります。
資格名だけで判断せず、申請する消防施設工事業について営業所技術者の要件を満たすか、静岡県が公開している最新の有資格コード一覧で確認してください。
特定建設業で消防施設工事業の許可を取得する場合の特定営業所技術者の要件
消防施設工事業は指定建設業ではないため、特定建設業の特定営業所技術者については、一般建設業の営業所技術者の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の消防施設工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有することで要件を満たすルートがあります。
消防施設工事業の特定営業所技術者となり得る主な資格・経験(特定建設業)
- 一般建設業の消防施設工事業の営業所技術者となり得る要件を満たし、かつ、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の消防施設工事について2年以上の指導監督的実務経験を有する者
- 国土交通大臣が同等以上の能力を有すると認めた者
消防施設工事業は指定建設業ではありません。特定営業所技術者について指導監督的実務経験のルートを用いる場合は、資格・実務経験だけでなく、元請としての請負金額、工事内容、担当した立場、経験期間まで確認する必要があります。
営業所技術者等については、資格だけでなく、実務経験、常勤性、営業所ごとの配置なども確認する必要があります。詳しくは「建設業許可の営業所技術者等とは?資格・実務経験・専任性【静岡県】」をご覧ください。
消防施設工事業の許可を取得・追加したい方へ
これから消防施設工事業(消防施設工事)の建設業許可を新たに取得する場合は、新規申請の要件・必要書類・料金をご確認ください。すでに他の業種で建設業許可を受けていて、消防施設工事業を追加する場合は、業種追加の手続きが必要です。

