さく井工事業は、井戸や温泉の掘削、観測井の築造など、さく井機械等を用いて穴や井戸を掘る工事と、これらに伴う揚水設備の設置工事を扱う建設業許可の業種です。
1件の請負代金が税込500万円以上のさく井工事を請け負う場合は、原則として建設業許可が必要です。元請・下請のどちらで受注する場合も対象となります。
このページでは、さく井工事の範囲、地質調査や他業種との違い、営業所技術者等に必要な資格・実務経験を解説します。静岡県で新規許可や業種追加を検討する際の確認にご利用ください。
建設業許可業種におけるさく井工事業(さく井工事)の位置づけ
建設業許可29業種の中において、さく井工事業(さく井工事)がどのような位置にあるのか下記表にてご案内いたします。
建設業許可29業種の一覧表
さく井工事業は、建設業許可29業種のうち、専門工事に該当する業種です。必要な許可は、元請・下請という立場だけでなく、実際に請け負う工事の内容に応じて判断します。
さく井工事業は専門工事の許可業種です。土木一式工事の許可があっても、単独で請け負うさく井工事の許可を当然に兼ねるわけではありません。

さく井工事業(さく井工事)の専門工事とは?
建設業許可の29業種には、「土木一式工事」「建築一式工事」の2つの一式工事と、それ以外の27の専門工事があります。さく井工事業の工事例としては、さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事が挙げられます。
さく井工事業(さく井工事)の専門工事の例
- さく井工事
- 観測井工事
- 還元井工事
- 温泉掘削工事
- 井戸築造工事
- さく孔工事
- 石油掘削工事
- 天然ガス掘削工事
- 揚水設備工事 等
さく井工事業(さく井工事)における元請と下請の考え方
建設業法上の「元請負人」「下請負人」は、それぞれの下請契約における立場を示す言葉です。日常的に使われる「元請業者」「一次下請」などの呼び方と区別して確認します。
さく井工事業(さく井工事)の発注者とは
建設工事の最初の注文者
さく井工事業(さく井工事)の元請負人とは
下請契約における注文者で、建設業者であるもの
さく井工事業(さく井工事)の下請負人とは
下請契約における請負人
さく井工事業(さく井工事)の下請契約とは
下請契約とは、建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と、他の建設業を営む者との間で、その工事の全部又は一部について締結する請負契約です。
下請契約ごとの関係を整理すると、次のようになります。以下は、注文する側が建設業の許可を受けている場合の例です。
| 下請契約の例 | 元請負人に当たる側 | 下請負人に当たる側 |
|---|---|---|
| 発注者から直接受注した業者が、一次下請へ発注する | 通称「元請業者」 | 一次下請 |
| 一次下請が、二次下請へ発注する | 一次下請 | 二次下請 |
| 二次下請が、三次下請へ発注する | 二次下請 | 三次下請 |
同じ業者でも、工事を請け負う契約では下請負人となり、その工事をさらに他の業者へ注文する契約では元請負人となることがあります。この考え方は、さく井工事業だけに限られるものではありません。
さく井工事業(さく井工事)の業種区分と考え方
さく井工事業(さく井工事)が建設業許可ではどのような区分や考え方とされているのかをご案内します。
さく井工事業(さく井工事)の建設業の該当業種
さく井工事業
さく井工事業(さく井工事)の建設工事における種類
さく井工事
さく井工事業(さく井工事)の建設工事の内容
- さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事
- 上記の工事に伴う揚水設備設置等を行う工事
さく井工事業(さく井工事)に求められる特徴
元請け工事又は下請け工事のどちらであるかは問われません。
さく井工事と地質調査・他業種との区分
「ボーリング」「ポンプ設置」などの名称だけでは、必要な許可業種を判断できない場合があります。工事の目的、完成する施設や設備、契約で請け負う範囲を確認します。
| 工事・業務の内容 | 区分を確認する際の考え方 |
|---|---|
| 井戸の築造、温泉の掘削、観測井・還元井の築造 | さく井工事の例に含まれます。 |
| さく孔・さく井工事に伴う揚水設備の設置 | さく井工事の範囲に含まれます。 |
| 地質調査、調査だけを目的とするボーリング | 建設工事の請負とは区別する業務です。ただし、観測井などを実際に築造する工事まで、名称に「調査」があるだけで除外することはできません。 |
| 既存設備のポンプ交換・設置だけを請け負う場合 | 一律にさく井工事とは断定できません。さく井工事との関係、設備の用途、施工内容、請負範囲を確認します。 |
| 建物の敷地内の給排水設備や、上水道等の配水小管を設置する工事 | 管工事との区分を確認します。 |
| 上水道等の取水・浄水・配水施設を築造する工事 | 水道施設工事との区分を確認します。井戸の掘削だけを請け負う場合とは区別します。 |
| 薬液注入、ウエルポイント等による地盤改良工事 | とび・土工・コンクリート工事の例に含まれます。 |
| くい打ち、くい抜き、場所打ぐい工事 | とび・土工・コンクリート工事の例に含まれます。 |
複数の工事が含まれる場合は、それぞれを独立した工事として請け負うのか、主たる工事の附帯工事として一体で請け負うのかも確認します。
関連する業種については、管工事業、水道施設工事業、とび・土工工事業の解説もご確認ください。
参考:国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」
注文者が材料を提供する場合は、請負代金にその材料の市場価格及び運送費を加えた額で、軽微な建設工事に該当するかを判断します。
※建設業法施行令第1条の2
「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、建設業許可は不要です。
「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が、
①「建築一式工事」にあっては、1,500万円(税込)に満たない工事、または延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
②「建築一式工事以外の建設工事」にあっては、500万円(税込)に満たない工事です。
なお、この請負代金の額の算定にあたっては、以下の点に注意が必要です。
ア)2以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割した場合を除き、各契約の請負金額の合計額
イ)注文者が材料を提供する場合は、その材料費等を含む額
ウ)単価契約とする場合は、1件の工事に係る全体の額
エ)消費税及び地方消費税を含む額
※建設業法施行令第1条の2
附帯工事の説明
許可を受けた建設業者が、その許可された業種の建設工事を請け負う場合に、その建設工事に従として附帯する他の種類の建設工事の事を「附帯工事」と呼び、この付帯工事を一体として請け負うことは差し支えありません。また、その際には主たる工事に関する建設業許可を有していれば足ります。
ただし、「附帯工事」(軽微な建設工事を除く)を請負業者が自ら施工する場合は、当該業種の資格等を有した「専門技術者」の配置が必要となり、また、自ら施工しない場合はその許可を持った建設業者により下請施工させなければなりません。(建設業法第26条の2第2項)
附帯工事に当たる場合は、主たる工事の許可で一体として請負可能
附帯工事を自ら施工する場合は、技術者の要件も確認
附帯工事か否かの判断基準
建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり、一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かが総合的に検討されるもので、主たる工事と当該工事との工事費の多寡によって定まるものではありません。
それぞれの工事が独立の使用目的に供されるものは、「附帯工事」とはいえないため注意が必要です。

附帯工事であれば一体として請け負っていいのね。



附帯工事であれば、許可を受けていない業種の建設工事であっても請け負うことができます。
附帯工事の注意点
建築一式工事以外の附帯工事が税込500万円以上となる場合は、その工事に必要な資格・実務経験を満たす専門技術者を配置して自ら施工するか、その業種の許可を受けた建設業者に下請施工させる必要があります。
- 石工事業者が石垣を築造するにあたって基礎部分の掘削やコンクリート工事を施工する場合
- 管工事業者が、既存の建物に冷暖房工事の配管をするに当たって、壁体をはつったり、熱絶縁工事をしたり、施工後に内装仕上工事をする場合
- モルタルの補修のための下地を修正することは大工工事に該当するが、この工事は左官の目的のための附帯工事であるため、大工工事業の許可を受けていなくても、左官工事業の許可を受けていればよい。
- 管工事(エアコン設置工事)の施工に伴って必要を生じた電気工事
- 屋根工事の施工に伴って必要を生じた塗装工事
- 電気工事の施工に伴って必要を生じた内装仕上工事(壁の一部貼り替えなど)



何が主たる工事になるのか、それによって取得する建設業許可業種が決まってきますね
地質調査など、建設工事の請負と区別する業務
地質調査・調査だけを目的とするボーリング
測量・設計のみの業務
工事を伴わない保守・点検・管理業務
ポンプ・資材の販売や運搬のみの業務
調査や点検だけを行った業務の収入を、そのままさく井工事の完成工事高に含めることはできません。
一方、観測井の築造など、実際にさく井工事を行う場合は別です。調査と工事の両方を受注している場合は、契約書・見積書・図面などにより、それぞれの内容と金額を区分して確認します。
さく井工事業の営業所技術者等の資格・実務経験
建設業許可では、営業所ごとに、取り扱う業種の要件を満たす技術者を置く必要があります。一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」と呼び、これらを総称して「営業所技術者等」といいます。従来の「専任技術者」に当たるものです。
資格・実務経験だけでなく、営業所での常勤性・専任性も確認します。また、営業所技術者等と、工事現場に配置する主任技術者・監理技術者は区別し、兼務する場合は別途その条件を確認する必要があります。
制度全体については、営業所技術者等の資格・実務経験・専任性の解説をご確認ください。
一般建設業でさく井工事業の許可を取得する場合の営業所技術者の要件
学歴と実務経験を有する者(法第7条第2号イ)
- 指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
-
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
学歴 指定学科の卒業 実務経験業種 卒業後の実務経験年数 高校 必要 許可の該当業種 5年以上 大学 必要 許可の該当業種 3年以上 - 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
-
- さく井工事業に対応する指定学科を専門学校の専門課程で修め、卒業後にさく井工事の実務経験を5年以上有する者
- さく井工事業に対応する指定学科を専門学校の専門課程で修め、専門士又は高度専門士の称号を有し、卒業後にさく井工事の実務経験を3年以上有する者
学歴 指定学科の卒業 実務経験業種 卒業後の実務経験年数 専門学校 必要 許可の該当業種 5年以上 専門士又は高度専門士 必要 許可の該当業種 3年以上
建設業法施行規則第1条で規定されている学科で、建設業の種類ごとにそれぞれ密接に関連する学科として指定されているものです。
さく井工事業の場合の指定学科
下記に関する学科が該当となります。
- 土木工学
- 鉱山学
- 機械工学
- 衛生工学
実務経験10年以上の者(法第7条第2号ロ)
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
| 学歴 | 指定学科の卒業 | 実務経験業種 | 実務経験年数 |
| 不問 | 不問 | 許可の該当業種 | 10年以上 |
国土交通大臣が認定した者(法第7条第2号ハ)
国土交通大臣がイ又はロと同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
下記の国家資格・技能検定・登録試験・登録基幹技能者講習などが対象です。資格や講習の種類によって、さく井工事の実務経験が別に必要となります。
さく井工事業の営業所技術者になれる資格と実務経験(一般建設業)
| 資格・講習等 | さく井工事業で必要となる実務経験・条件 |
|---|---|
| 1級土木施工管理技士、又は1級土木施工管理技士補 | 対応する第一次検定合格後、さく井工事の実務経験3年以上 |
| 2級土木施工管理技士(土木・鋼構造物塗装・薬液注入のいずれか)、又は2級土木施工管理技士補 | 対応する第一次検定合格後、さく井工事の実務経験5年以上 |
| 1級管工事施工管理技士、又は1級管工事施工管理技士補 | 対応する第一次検定合格後、さく井工事の実務経験3年以上 |
| 2級管工事施工管理技士、又は2級管工事施工管理技士補 | 対応する第一次検定合格後、さく井工事の実務経験5年以上 |
| 1級造園施工管理技士、又は1級造園施工管理技士補 | 対応する第一次検定合格後、さく井工事の実務経験3年以上 |
| 2級造園施工管理技士、又は2級造園施工管理技士補 | 対応する第一次検定合格後、さく井工事の実務経験5年以上 |
| 技術士:上下水道「上水道及び工業用水道」、又は総合技術監理(上下水道「上水道及び工業用水道」) | 該当する資格によって技術者要件を満たします。資格に加えて別途求められる実務経験はありません。 |
| 技能検定「さく井」1級 | 該当する資格によって技術者要件を満たします。資格に加えて別途求められる実務経験はありません。 |
| 技能検定「さく井」2級 | 合格後、さく井工事の実務経験3年以上。ただし、平成16年3月31日以前の合格者は1年以上 |
| 地すべり防止工事試験の合格者 | 地すべり防止工事士として登録した後、さく井工事の実務経験1年以上 |
| 登録さく井基幹技能者講習の修了者 | さく井工事の実務経験10年以上を有し、講習修了証の対象業種を確認 |
| 登録斜面防災基幹技能者講習の修了者 | さく井工事の実務経験10年以上を有し、講習修了証の対象業種を確認 |
施工管理技士等を利用する方法では、さく井工事についての経験が必要です。1級土木施工管理技士・1級管工事施工管理技士・1級造園施工管理技士であっても、その資格だけでさく井工事業の営業所技術者になれるわけではありません。
3年・5年の経験を確認する際は、第一次検定の合格日を確認します。旧制度の合格者については、合格証明書と適用される資格区分により、経験を数え始める日を確認します。
技能検定は、合格証書に記載された職種・作業区分・等級・合格日を確認します。県の資格表では、「さく井」について作業区分を限定する注記はありません。
登録基幹技能者は、講習修了後に新たに10年の経験を積むという意味ではありません。ただし、さく井工事業の技術者として認められるためには、さく井工事について10年以上の実務経験があり、修了証の対象業種にさく井工事業が含まれることを確認します。
このほか、国土交通大臣の個別認定等を利用する場合は、認定の対象業種と内容を確認します。
資格要件の確認資料:静岡県「建設業許可 お知らせ(有資格コード一覧・訂正追加)」
特定建設業でさく井工事業の許可を取得する場合の特定営業所技術者の要件
さく井工事業は、指定建設業の7業種には含まれません。そのため、所定の資格による方法のほか、一般建設業の技術者要件と指導監督的実務経験を組み合わせる方法があります。
なお、特定建設業許可が必要になるかどうかは、発注者から直接請け負った1件のさく井工事について、下請へ出す代金の総額が税込5,000万円以上になるかで判断します。以下の4,500万円は、技術者の経験を確認するための別の基準です。
さく井工事業の特定営業所技術者の要件
| 要件を満たす方法 | 確認する内容 |
|---|---|
| 所定の技術士資格による方法 | 技術士の上下水道「上水道及び工業用水道」、又は総合技術監理(上下水道「上水道及び工業用水道」)。この方法では、別途2年以上の指導監督的実務経験を求められません。 |
| 一般建設業の技術者要件と、指導監督的実務経験を組み合わせる方法 | さく井工事業について一般建設業の営業所技術者になれる要件を満たし、さらに、発注者から直接請け負った税込4,500万円以上のさく井工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有すること。 |
| 国土交通大臣の認定による方法 | さく井工事業の特定営業所技術者として適用できる認定であることを、認定内容により確認します。 |
指導監督的実務経験とは、工事現場主任や工事現場監督者のような立場で、工事の技術面を総合的に指導監督した経験です。下請として施工した経験や、発注者側で監督した経験は、この要件の対象となる元請の指導監督的実務経験とは区別します。
施工管理技士等、技能検定、地すべり防止工事試験、登録基幹技能者講習などを利用する場合は、まず一般建設業のさく井工事業に必要な資格・実務経験を満たしているかを確認し、そのうえで指導監督的実務経験の要件も確認します。1級の施工管理技士であることだけで、さく井工事業の特定の要件を満たすわけではありません。
過去の工事については、昭和59年10月1日前の税込1,500万円以上の工事、同日以降平成6年12月28日前の税込3,000万円以上の工事を対象にできる取扱いもあります。工事の時期・請負金額・担当した立場を確認します。
静岡県でさく井工事業の建設業許可を申請する方へ
行政書士事務所敷地では、建設業許可の新規申請・業種追加についてご相談いただけます。
さく井工事業の申請をご検討の方は、請け負う予定の工事内容、現在の建設業許可の有無、技術者候補の資格・実務経験をお知らせください。工事区分と技術者要件を整理し、申請に向けた確認事項をご案内します。
初めて許可を取得する方は、新規申請のご案内をご確認ください。すでに他業種の許可をお持ちの方は、業種追加のご案内をご確認ください。

