建設業許可業種の電気通信工事業(電気通信工事)
29種類ある建設業許可業種の内の電気通信工事業(電気通信工事)を解説いたします。
建設業許可業種における電気通信工事業(電気通信工事)の位置づけ
建設業許可29業種の中において、電気通信工事業(電気通信工事)がどのような位置にあるのか下記表にてご案内いたします。
建設業許可29業種の一覧表
電気通信工事業(電気通信工事)は工事の種類で言うところの専門工事に該当します。そして、電気通信工事業(電気通信工事)の取得が求められる建設業者は、工事の施工のために必要な業者とされています。
電気通信工事業 → 専門工事 → 工事の施工のために必要な業者
電気通信工事業(電気通信工事)の専門工事とは?
29業種の建築工事のうち「土木一式工事」、「建築一式工事」を除く27業種の専門工事があります。電気通信工事業(電気通信工事)の場合は、有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事が例としてあげられます。
電気通信工事業(電気通信工事)の専門工事の例
- 有線電気通信設備工事
- 無線電気通信設備工事
- データ通信設備工事
- 情報処理設備工事
- 情報収集設備工事
- 情報表示設備工事
- 放送機械設備工事
- TV電波障害防除設備工事 等
電気通信工事業(電気通信工事)における元請と下請の考え方
建設業許可は建設業法により定めれらていますが、この法でいう発注者、元請負人、下請負人の意味合いは世間で言われるものとは異なりますため、その考え方を整理してみます。
電気通信工事業(電気通信工事)の発注者とは
建設工事の最初の注文者
電気通信工事業(電気通信工事)の元請負人とは
下請契約における注文者で、建設業者であるもの
電気通信工事業(電気通信工事)の下請負人とは
下請契約における請負人
電気通信工事業(電気通信工事)の下請契約とは
建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者が、他の建設業を営む者との間で、請け負った建設工事の全部又は一部について締結される請負契約
上記の流れを図にしてみると下記となります。世間一般の通称と異なる点と比較してみてください。
通称 | 発注者(施主) | 一次下請 | 二次下請 | 三次下請 |
建設業法上 | 発注者 | 元請負人 | 下請負人 | |
元請負人 | 下請負人 |
世間一般の通称とは異なり建設業法上においては、下請負人へ注文を出す建設業者が元請業者で、それを請ける業者が下請業者となるのが特徴ですね。
電気通信工事業(電気通信工事)の業種区分と考え方
電気通信工事業(電気通信工事)が建設業許可ではどのような区分や考え方とされているのかをご案内します。
電気通信工事業(電気通信工事)の建設業の該当業種
電気通信工事業
電気通信工事業(電気通信工事)の建設工事における種類
電気通信工事
電気通信工事業(電気通信工事)の建設工事の内容
下記の電気通信設備を設置する工事
- 有線電気通信設備
- 無線電気通信設備
- 放送機械設備
- ネットワーク設備
- 情報設備等
電気通信工事業(電気通信工事)に求められる特徴
元請け工事又は下請け工事のどちらであるかは問われません。
電気通信工事業(電気通信工事)許可で判断がつきにくい建設工事の区分と考え方
公表されている電気通信工事業(電気通信工事)の考え方の例を下記に記載します。
既に設置された電気通信設備の改修、修繕又は補修は『電気通信工事』に該当する。
保守(電気通信施設の機能性能及び耐久性の確保を図るために実施する点検、整備及び修理をいう。)に関する役務の提供等の業務は、『電気通信工事』に該当しない。
『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。
材料費が請負契約に含まれていない場合であっても、注文者が提供する材料費も合算して税込み500万円以上(建築一式工事の場合は税込み1500万円以上)となった場合は、建設業の許可が必要です。
※建設業法施行令第1条の2
「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、建設業許可は不要です。
「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が、
①「建築一式工事」にあっては、1,500万円(税込)に満たない工事もしくは延べ面積が150㎡に満たない工事
②「建築一式工事以外の建築工事」にあっては、500万円(税込)に満たない工事です。
なお、この請負代金の額の算定にあたっては、以下の点に注意が必要です。
ア)2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負金額の合計額
イ)注文者が材料を提供する場合は、その材料費等を含む額
ウ)単価契約とする場合は、1件の工事に係る全体の額
エ)消費税及び地方消費税を含む額
※建設業法施行令第1条の2
附帯工事の説明
許可を受けた建設業者が、その許可された業種の建設工事を請け負う場合に、その建設工事に従として附帯する他の種類の建設工事の事を「附帯工事」と呼び、この付帯工事を一体として請け負うことは差し支えありません。また、その際には主たる工事に関する建設業許可を有していれば足ります。
ただし、「附帯工事」(軽微な建設工事を除く)を請負業者が自ら施工する場合は、当該業種の資格等を有した「専門技術者」の配置が必要となり、また、自ら施工しない場合はその許可を持った建設業者により下請施工させなければなりません。(建設業法第26条の2第2項)
主たる工事の建設業許可は必要
付帯工事の建設業許可は不要
附帯工事か否かの判断基準
建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり、一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かが総合的に検討されるもので、主たる工事と当該工事との工事費の多寡によって定まるものではありません。
それぞれの工事が独立の使用目的に供されるものは、「附帯工事」とはいえないため注意が必要です。
附帯工事であれば一体として請け負っていいのね。
附帯工事であれば、許可を受けていない業種の建設工事であっても請け負うことができます。
附帯工事の注意点
500万円を超える附帯工事を施行する場合は、主任技術者又は主任技術者に相当する者を置いて自ら施工するか、専門工事の許可を受けた建設業者に請け負わせて施工させなければなりません。
- 石工事業者が石垣を築造するにあたって基礎部分の掘削やコンクリート工事を施工する場合
- 管工事業者が、既存の建物に冷暖房工事の配管をするに当たって、壁体をはつったり、熱絶縁工事をしたり、施工後に内装仕上工事をする場合
- モルタルの補修のための下地を修正することは大工工事に該当するが、この工事は左官の目的のための附帯工事であるため、大工工事業の許可を受けていなくても、左官工事業の許可を受けていればよい。
- 管工事(エアコン設置工事)の施工に伴って必要を生じた電気工事
- 屋根工事の施工に伴って必要を生じた塗装工事
- 電気工事の施工に伴って必要を生じた内装仕上工事(壁の一部貼り替えなど)
何が主たる工事になるのか、それによって取得する建設業許可業種が決まってきますね
そもそも建設工事に該当しない作業
- 除草
- 草刈
- 伐採
- 樹木の剪定
- 庭木の管理
- 造林
- 除雪
- 融雪剤散布
- 測量
- 設計
- 地質調査
- 調査目的のボーリング
- 保守、点検、管理業務等の委託業務
- 清掃
- 浄化槽清掃
- ボイラー洗浄
- 側溝清掃
- 造船
- 機械器具製造、修理
- 道路の維持管理
- 施肥等の造園管理業務
- 機械建設の賃貸
- リース
- 建売住宅の販売
- 社屋の工事
- 資材の販売
- 物品販売
- 機械、資材の運搬
- 採石
- 宅地建物取引
- コンサルタント
- 人工出し
- 解体工事や電気工事で生じた金属等の売却収入
- JVの構成員である場合のそのJVからの下請工事等
上記の作業は建設工事に該当しないので、電気通信工事業(電気通信工事)のみならずその他の建設工事業種にも該当しません。これらは、兼業の扱いとなり、建設業の完成工事高に含めることもできませんので注意が必要です。
電気通信工事業(電気通信工事)の専任技術者の資格要件
電気通信工事業(電気通信工事)で建設業許可を取得するにあたり、一般建設業許可を取得するのか、又は特定建設業許可を取得するのかにより、専任技術者に求められる要件が異なりますので注意が必要です。
一般建設業で電気通信工事業の許可を取得する場合の専任技術者要件
学歴と実務経験を有する者(法第7条第2号イ)
- 指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
-
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
学歴 指定学科の卒業 実務経験業種 卒業後の実務経験年数 高校 必要 許可の該当業種 5年以上 大学 必要 許可の該当業種 3年以上 - 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
-
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後5年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後3年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者のうち、専門士又は高度専門士を称するもの
学歴 指定学科の卒業 実務経験業種 卒業後の実務経験年数 専門学校 必要 許可の該当業種 5年以上 専門士又は高度専門士 必要 許可の該当業種 3年以上
建設業法施行規則第1条で規定されている学科で、建設業の種類ごとにそれぞれ密接に関連する学科として指定されているものです。
電気通信工事業の場合の指定学科
下記に関する学科が該当となります。
- 電気工学
- 電気通信工学
実務経験10年以上の者(法第7条第2号ロ)
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
学歴 | 指定学科の卒業 | 実務経験業種 | 卒業後の実務経験年数 |
不問 | 不問 | 許可の該当業種 | 10年以上 |
国土交通大臣が認定した者(法第7条第2号ハ)
国土交通大臣がイ又はロと同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
具体的には、下記の指定された国家資格者の事を指します。
電気通信工事業の専任技術者要件の対象資格(一般建設業)
- 一級電気通信工事施工管理技士
- 二級電気通信工事施工管理技士
- 電気電子・総合技術監理(電気電子)
- 電気通信主任技術者
- 工事担任者(『「第1級アナログ通信」及び「第1級デジタル通信」』又は「総合通信」)
- 登録電気工事基幹技能者
- 建設業法施行規則第7条の3の第1号、第2号及び第3号該当
注意)上記の資格のみで要件を満たす場合と、資格+実務経験を求める場合があります。各資格要件(実務要件含む)については最新の建設業手引きで、ご確認ください。
実務上では要件を満たす国家資格を保有して、専任技術者になるパターンが多くあります。
※建設業許可の専任技術者要件を満たす国家資格の中には、実務経験も同時に必要とするものもあります。
特定建設業で電気通信工事業の許可を取得する場合の専任技術者要件
建設業許可と特定建設業許可では求められる要件が異なるので注意が必要です。
電気通信工事業の専任技術者要件の対象資格(特定建設業)
- 一級電気通信工事施工管理技士
- 二級電気通信工事施工管理技士
- 電気電子・総合技術監理(電気電子)
- 電気通信主任技術者
- 工事担任者(『「第1級アナログ通信」及び「第1級デジタル通信」』又は「総合通信」)
- 登録電気工事基幹技能者
- 国土交通大臣が上記の者と同等以上の能力を有すると認めた者
注意)上記の資格のみで要件を満たす場合と、資格+実務経験を求める場合があります。各資格要件(実務要件含む)については最新の建設業手引きで、ご確認ください。