営業所技術者等(旧称:営業所の専任技術者)が退職する、別の営業所へ異動する、別の人へ交代するといった場合は、「変更後14日以内に届出をすればよい」と考えないことが重要です。
建設業許可では、営業所ごとに、その営業所で営む許可業種について要件を満たす営業所技術者等を置く必要があります。現在の担当者が退職し、要件を満たす人がいなくなれば、変更届の期限だけではなく、建設業許可そのものに関わる問題になります。
そのため、退職日や異動日が決まったら、まず現在の担当者がどの営業所でどの許可業種を担当しているのか、後任候補者がその業種の要件を満たしているのかを確認します。
特に、一人の営業所技術者等が複数の許可業種を担当している場合は注意が必要です。後任者が一部の業種しか担当できなければ、一人を一人へ交代するだけではすべての許可業種を維持できません。
このページでは、静岡県知事許可を中心に、営業所技術者等の退職・異動・交代がある場合の確認事項、後任者の要件、複数業種を担当している場合、後任がいない場合、必要となる変更届について説明します。
営業所技術者等が退職するときは、変更届より先に許可要件を確認する
営業所技術者等は、建設業許可を取得するときだけ満たせばよい要件ではありません。
営業所ごとに、その営業所で営む建設業について要件を満たす営業所技術者等を置く必要があります。そのため、現在の営業所技術者等が退職・異動する場合に最初に確認するのは、その人がいなくなった後も、その営業所で許可要件を満たせるかどうかです。
14日以内は「営業所技術者等が不在でもよい期間」ではありません
営業所技術者等に変更が生じた場合には、原則として事実が発生してから14日以内に変更届を提出します。
しかし、14日という期間は変更届の提出期限です。「退職後14日以内に後任者を決めればよい」「14日間は営業所技術者等がいなくてもよい」という意味ではありません。
営業所技術者等を置くこと自体が建設業許可の基準です。退職予定が分かった時点で、退職日から逆算して後任者が要件を満たすか確認する必要があります。
退職前に確認すること
- どの営業所の営業所技術者等か
- 現在どの許可業種を担当しているか
- 各業種が一般建設業か特定建設業か
- 後任候補者がいるか
- 後任候補者が各業種の要件を満たすか
- 後任候補者がその営業所で常勤・専任できるか
- 実際の退職日・異動日・交代日
営業所技術者等の変更が必要になる主なケース
営業所技術者等に関する変更は、退職だけではありません。人事異動や担当業種の変更などによっても、建設業許可上の変更手続が必要になることがあります。
営業所技術者等が退職するとき
現在の営業所技術者等が会社を退職する場合は、その人が担当している営業所と許可業種を確認します。
後任者がすべての担当業種について要件を満たしていれば交代できますが、一部の業種しか担当できない場合は、残る業種を別の営業所技術者等が担当できるか確認します。
別の営業所へ異動するとき
本店から支店へ異動させるなど、所属する営業所を変更する場合は、異動先だけでなく、異動元の営業所に誰が残るのかも確認します。
異動先で要件を満たしていても、異動元の営業所で営業所技術者等が不足すれば、そちらの許可維持に影響します。
別の人へ交代するとき
新任者が、引き継ぐ予定の許可業種について資格・実務経験等の要件を満たしているか確認します。
現在の担当者が複数業種を担当している場合は、そのすべてを後任者が担当できるとは限りません。
担当業種や有資格区分が変わるとき
営業所技術者等本人は変わらなくても、新たな資格取得などによって担当業種を増やしたり、有資格区分が変わったりする場合があります。
この場合も、変更後に担当する許可業種と資格・経験の関係を確認して変更手続を行います。
営業所技術者等を新たに追加する場合については、別ページ「営業所技術者等の追加手続」で詳しく説明しています。
後任の営業所技術者等は、担当する業種ごとに要件を確認する
後任候補者については、単に「資格を持っている」「建設会社で長く働いている」というだけでは判断できません。
担当する許可業種について、資格・学歴・実務経験等を現在の制度に照らして確認します。
一般建設業では、一定の国家資格等、指定学科卒業後の実務経験、一定期間の実務経験、技術検定合格後の実務経験など、複数の要件があります。
そのため、現在の許可業種を確認し、後任候補者の資格・学歴・実務経験によって、その業種を担当できるかを一つずつ確認します。
実務経験を使う場合
実務経験で要件を満たす場合は、単に建設会社に長く勤務していたというだけでは足りません。
対象となる建設業について、建設工事の施工に関する技術上の実務経験が必要です。
また、静岡県では実務経験の内容だけでなく、経験期間の在籍や工事実績を確認できる資料も確認します。
そのため、どの会社で、どのような工事を、どのくらいの期間経験したのか、その期間の在籍と工事実績を資料で確認できるかまで確認します。
その営業所で常勤・専任できることも必要です
資格・実務経験の要件を満たしていても、その営業所の営業所技術者等として専任できなければ要件を満たしません。
また、他の営業所の営業所技術者等を兼ねることはできません。
後任者を決めるときは、「資格を持つ社員がいるか」だけでなく、実際にどの営業所で勤務する人なのかまで確認します。
一人で複数の許可業種を担当している場合は特に注意する
同じ営業所内であれば、一人の営業所技術者等が複数の建設業を担当することができます。ただし、それぞれの建設業について必要な要件を満たしていることが前提です。
そのため、現在の営業所技術者等が複数業種を担当している場合は、後任候補者がそのすべてを引き継げるとは限りません。
例えば、現在の営業所技術者等が土木工事業、とび・土工工事業、舗装工事業、水道施設工事業の4業種を担当していて、後任候補者が3業種についてしか要件を満たしていない場合は、残る1業種を担当できる別の営業所技術者等がいるか確認する必要があります。
※上記は制度を説明するための例であり、行政書士事務所敷地の実務事例ではありません。
複数人で許可業種を分担することもできます
一人の後任者ですべての許可業種を担当できない場合でも、同じ営業所で複数の営業所技術者等が業種を分担することは可能です。
重要なのは、その営業所で営業を続ける許可業種のすべてについて、要件を満たす営業所技術者等がいる状態を維持することです。
後任者がいない・要件を満たさない場合
営業所技術者等が退職するにもかかわらず、後任者がいない場合や、後任候補者が必要な要件を満たさない場合は、単なる変更届の問題ではありません。
営業所技術者等を置くこと自体が建設業許可の基準です。そのため、必要な営業所技術者等を置けない場合は、その営業所で対象となる許可業種を維持できるかという問題になります。
後任者がまだ決まっていない場合は、まず社内に他の候補者がいないか、資格や実務経験によって要件を満たせる人がいないか、複数人で担当業種を分担できないかを確認します。
また、他の営業所から営業所技術者等を異動させる場合は、異動先だけでなく、異動元の営業所で許可要件を維持できるかも確認する必要があります。
後任者を確保できないまま退職日を迎えないよう、退職予定が分かった段階で確認を始めることが重要です。
変更内容によって提出する書類が異なる
営業所技術者等の変更では、後任者を置いて交代する場合と、営業所技術者等の要件を満たす人がいなくなった場合とで使用する書類が異なります。
後任者を置いて交代する場合
現在の営業所技術者等に代えて、新しい営業所技術者等を置く場合は、変更届出書(様式第22号の2)と営業所技術者等証明書(様式第8号)を使用します。
後任者が新たに営業所技術者等となる場合は、その人が担当する許可業種について要件を満たしていることを確認する資料も必要です。
資格で要件を満たす場合は資格証明書等を確認し、実務経験を使う場合は実務経験証明書や実績・在籍を確認できる資料などを確認します。
後任者がおらず、営業所技術者等の基準を満たさなくなった場合
現在の営業所技術者等が退職し、代わる人もいないため、営業所技術者等の基準を満たさなくなった場合は、通常の交代とは扱いが異なります。
この場合は、届出書(様式第22号の3)を使用して、営業所技術者等の基準を満たさなくなったことを届け出ます。
ただし、この届出を提出すれば建設業許可をそのまま維持できるという意味ではありません。営業所技術者等を置けない業種については、許可を維持できるかという問題が残ります。
また、一部業種を廃業する場合や営業所を廃止する場合には、廃業届など別の手続が必要になることがあります。
営業所技術者等の削除に関する手続は「営業所技術者等を削除する場合」で確認できます。
営業所技術者等の変更届は14日以内
営業所技術者等に変更が生じた場合は、事実が発生してから14日以内に必要な届出を行います。
ただし、14日は営業所技術者等が不在でもよい期間ではありません。
実務上は、退職日や異動日が決まった段階で後任者の要件を確認し、許可要件を維持できる状態を確認したうえで変更日を迎え、変更後14日以内に届出を行うという順番になります。
変更届の期限を過ぎてしまった場合は、電子申請をそのまま進めず、管轄の土木事務所への確認が必要です。
静岡県では後任者の資格・実務経験・専任性を確認する
静岡県知事許可で新しい営業所技術者等を届け出る場合は、後任者が要件を満たしていることを確認する資料が必要です。
必要な資料は、後任者が資格・学歴・実務経験など、どの要件によって営業所技術者等となるかによって変わります。
- 専任性を確認する資料
- 卒業学科・資格等を確認する資料
- 実務経験の実績を確認する資料
- 実務経験期間の在籍を確認する資料
- 特定建設業で必要となる場合の指導監督的実務経験に関する資料
そのため、最初から一律の必要書類を集めるのではなく、後任者がどの要件で担当業種の営業所技術者等になれるのかを確認してから、必要な資料を特定します。
営業所技術者等の退職・変更は行政書士事務所敷地へご相談ください
営業所技術者等の退職・異動・交代では、変更届を作成する前に、現在の許可内容と後任者の要件を確認する必要があります。
行政書士事務所敷地では、まず現在の建設業許可について、どの営業所で、どの許可業種を、誰が担当しているかを確認します。
そのうえで、後任候補者が担当予定の許可業種について、資格・学歴・実務経験等の要件を満たしているか確認します。
実務経験を使う場合は、経験した工事の内容、経験期間、在籍状況、証明に使用できる資料を確認します。一人が複数業種を担当している場合は、業種ごとに誰が後任となれるかも確認します。
要件を確認した後、変更内容に応じた届出書類を作成し、静岡県への提出まで対応します。
退職予定日が決まっている場合は、退職後ではなく、退職前の段階でご相談ください。
ご相談時に分かると確認が進めやすいもの
- 現在の建設業許可通知書
- 退職・異動する営業所技術者等の氏名
- 現在担当している許可業種
- 退職日・異動日・交代日などの予定日
- 後任候補者の氏名
- 後任候補者が持っている資格
- 実務経験を使う場合は、これまで経験した工事の概要
後任者がまだ決まっていない場合でもご相談いただけます。候補者の資格・学歴・実務経験を確認し、どの許可業種を担当できる可能性があるか確認します。
役員、営業所、商号・所在地など、営業所技術者等以外の変更もある場合は「建設業許可の変更届」で必要な届出を確認してください。
営業所技術者等の退職・変更に関するよくある質問
営業所技術者等が退職してから14日以内に後任を決めればよいですか?
いいえ。14日は変更届の提出期限です。営業所技術者等が14日間不在でもよいという意味ではありません。退職予定が分かった段階で、後任者が要件を満たすか確認する必要があります。
一人で複数の許可業種を担当できますか?
同じ営業所内で、それぞれの許可業種について必要な要件を満たしていれば可能です。交代時には、後任者についても業種ごとに要件を確認します。
資格がなくても実務経験で営業所技術者等になれますか?
業種、学歴、実務経験年数などによっては可能です。また、現在は一定の技術検定合格後の実務経験による要件もあります。実務経験を使う場合は、経験した工事の内容や経験期間の在籍を確認できる資料も必要です。
別の営業所の営業所技術者等を兼ねることはできますか?
原則としてできません。別の営業所へ異動させる場合は、異動先だけでなく、異動元の営業所で許可要件を維持できるかも確認します。
後任者がまだ決まっていなくても相談できますか?
はい。退職予定が分かっている場合は、後任者が確定する前でも、候補者の資格・学歴・実務経験を確認できる段階でご相談いただけます。

