役員・支配人の追加変更届|静岡の建設業許可
当事務所は建設業者の外部支援事務所として取り組みを行っている社会保険労務士と行政書士の事務所です。代表の成岡寛人と申します。
事務所所在地は静岡県静岡市駿河区です。
主に建設業者が必要とする各種手続き業務を承り、また、労働関係法令をふまえた労務相談等でご活用いただいています。具体的には、建設業許可、更新、決算変更届、経営事項審査、入札、労災特別加入、社会保険、労働保険、雇用保険、その他、建設業許可業者が必要とする各種手続きと、それに付随するアドバイス業務を行っています。
建設業関係手続きの専門家として、建設業者が事業を継続する上で必要な手続きを代行いたします。

代表の成岡寛人です。よろしくお願いします。
当事務所では建設業支援に注力しています。


当事務所はこのように建設業支援事務所として取り組んでいる建設業許可関連の専門家です。
建設業に関する手続きは安心してご相談ください。

役員追加の変更届の概要説明|静岡の建設業許可
建設業許可業者が役員を追加した時の疑問点
建設業者に限らず会社全体として、役員の就任は事業を継続していく上で発生します。一般的な理解としては、登記簿へその旨を示すことにより、就任が完結出来るものです。
しかし、建設業許可をお持ちの建設業者様の場合はそれだけで完結となるのでしょうか?建設業法上はどのように扱うことが求められているのでしょうか?
この記事ではそのような建設業許可や建設業法の側面から見た際に行うべき役員追加の手続について解説いたします。
建設業許可業者が役員を追加した時の手続概要
静岡県において建設業許可を取得した後で、役員・支配人の追加を行うことは可能です。その際には、役員の追加の届出を30日以内に行う必要があります。
建設業許可を取得した建設会社の役員・支配人は、経営業務の管理責任者を兼ねていることもあります。経営業務の管理責任者として追加する場合には、手続きの期間が14日以内となっているので注意しましょう。
この記事では、役員・支配人の追加の手続きや必要書類について解説します。
このような方に向けた記事です
- 建設業許可における役員・支配人の意味を知りたい方
- 役員・支配人の追加が必要なケースを知りたい方
- 役員・支配人の追加を行う手続きを知りたい方
- 役員・支配人の追加を行う際の必要書類を知りたい方 等
一般的な役員・支配人とは?(会社法329条)
役員とは、株式会社の取締役、代表取締役といった役職についている人のことです。
会社法では取締役だけでなく、会計参与及び監査役も含むものとされています(会社法329条)。
役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
会社法329条
支配人とは、会社に代わってその事業に関する一切の行為をする権限を有する立場の人のことです。
個人事業の場合は、オーナーの代わりに事業を切り盛りする番頭のような立場の人が支配人に該当することがあります。

会社法ではこのように定義されているんですね



はい、登記簿に記載される一般的役員のことになります。
後でご説明する建設業許可でいう役員とは意味が違うところに注意が必要です。
役員・支配人の追加があった時は?|会社法の場合
役員・支配人の追加とは、新たに役員や支配人が就任することを意味します。
役員と支配人は、法人登記の登記事項になっているため、新たに就任した人がいる場合は、法務局で役員変更登記の申請を行う必要があります。
建設業許可を取得した建設会社における役員・支配人とは?
建設業法における役員の意味
建設業法では、「役員」の意味が会社法と異なるため、注意が必要です。
建設業法の役員とは次の人たちのことです。
建設業許可で認められる役員の種類
- 業務を執行する社員
- 取締役
- 執行役
- 上記3者に準ずる者
- 相談役、顧問等で会社に対する支配力を有する者
建設業許可基準において経営業務管理責任者としての経験を有する者の配置が求められる「役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者)」に、業務の執行権限を明確に委譲されている等、一定の要件を満たす者(一定の要件を満たすいわゆる執行役員等を想定)も含めることとする。【27年度措置】
国土交通省建設業許可制度「資料3」より
会社に対する支配力を有するかどうかの判断基準の一つとして、「総株主の議決権の100分の5以上を有する株主であること」や「出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者であること」が挙げられています。
役員の意味合いの対比|建設業法と会社法329条
建設業法 | 会社法329条 | |
業務を執行する社員 | ● | ー |
取締役 | ● | ● |
執行役 | ● | ー |
これらに準ずる者 | ● | ー |
会計参与 | ー | ● |
監査役 | ー | ● |
執行役員 | 一定の要件を満たせば含む | ー |
●:該当 ー:非該当



法律によっては役員であったり、そうでなかったりするのね。



はい、建設業許可では一定の要件を満たす執行役員のように、役員と認められる範囲が変わることもあるんです。
特徴的なチェックポイント
- 会計参与及び監査役は建設業法上では役員に該当しない
- 執行役と執行役員は異なる
- 執行役員は役員ではないが、建設業法上は一定の要件を満たせば、経営業務の管理責任者となる役員に含む
建設業許可における役員・支配人の意味
建設業許可では、常勤役員等の一人以上が経営業務の管理責任者でなければなりません。
常勤とは、会社の本店等で休日や勤務を要しない日を除いて、毎日所定の時間その職務に従事することを意味します。そのため、非常勤の役員は経営業務の管理責任者になれません。


また、役員等とは、法人であれば上記で解説した役員のことを意味します。個人の場合は、本人のほか、支配人も含まれます。
つまり、建設業許可を取得した建設会社における役員・支配人の一人以上は、経営業務の管理責任者でなければならないということです。


建設業許可を取得した建設会社において役員・支配人を追加する意味は?
建設業許可を取得した建設会社において役員・支配人を追加することには2つの意味があります。
建設業許可において役員・支配人を追加する意味
- 役員・支配人の席が空いたので補充する。
- 後継者候補者を役員・支配人に就任させて、経営業務管理の経験を積ませる。
一つは、役員・支配人をやっていた人が退任したり、亡くなったために、その空席を埋めるという意味があります。
もう一つは、後継者候補者に役員経験を積ませるという意味です。
経営業務の管理責任者は、原則として建設業許可を取得した建設会社での役員経験を5年以上有することが求められます。これは、現在の経営業務の管理責任者がある日突然退任して後継者を役員に据えて役を移したいと考えたとしても、この「建設会社での役員経験5年以上」の要件を満たさない限りは経営業務の管理責任者にはなれないことを意味します。
そのため、この「建設会社での役員経験5年」の経験を積ませるために、後継者候補者が決まったら、役員や支配人に早い段階で就任させるわけです。
建設業許可を取得した建設会社が役員・支配人を追加するための手続きとは?
建設業許可を取得した建設会社が役員・支配人を追加する際は、次の2つの手続きが必要です。
- 法務局における役員変更登記
- 静岡県知事への役員等の変更届
一つ一つ確認しましょう。
法務局における役員変更登記
会社の役員が新たに就任した時は、役員変更登記が必要になります。
なお、商業登記における会社の役員とは、取締役のほか、会計参与及び監査役も含みます。詳細は前述の会社法329条の箇所をご覧下さい。
建設業許可を取得した建設会社でも会計参与及び監査役が新たに就任した場合は、役員変更登記が必要なので注意しましょう。
役員変更登記のためには次のような書類が必要です。
- 株式会社変更登記申請書
- 前任者の辞任届又は死亡届等
- 臨時株主総会議事録
- 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)
- 取締役等の就任承諾書
- 取締役等の印鑑証明書
なお、登録免許税として、3万円がかかります。
静岡県知事への役員等の変更届
役員変更登記を済ませた後で、静岡県知事へ役員・支配人の追加による変更届を提出します。
この変更届で注意したいことは、新たに追加する役員・支配人が経営業務の管理責任者になるのか、ではないのかという点です。
新たに追加する役員・支配人が経営業務の管理責任者になる場合
経営業務の管理責任者として役員・支配人の追加を行う場合は、「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の変更・追加」の手続きとして変更届を提出します。
この場合の必要書類は次のとおりです。
経営業務の管理責任者関係の提出書類
- 変更届出書
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書
- 常勤役員等の略歴書
- 経営業務の管理責任者の確認書類
役員追加の提出書類
- 役員等の一覧表
- 誓約書
- 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
- 登記事項証明書
- 役員等氏名一覧表(静岡県様式)
- 登記されていないことの証明書・身分証明書
なお、経営業務の管理責任者は、建設業許可要件となっており、一日でも欠けてはならないため、事実の発生したときから14日以内に変更届の提出が必要になります。
新たに追加する役員・支配人が経営業務の管理責任者ではない場合
経営業務の管理責任者ではない役員・支配人が新たに就任する場合は、役員の変更届として提出します。
経営業務の管理責任者ではない場合の役員の提出書類
- 変更届出書
- 役員等の一覧表
- 誓約書
- 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
- 登記事項証明書
- 役員等氏名一覧表(静岡県様式)
- 登記されていないことの証明書・身分証明書
役員の変更届だけであれば、事実の発生したときから30日以内に提出すれば足ります。
建設業許可の役員・支配人追加手続きのまとめ
建設業許可を取得した建設会社が、役員・支配人の追加を行う場合は、法務局における役員変更登記と静岡県知事への役員等の変更届が必要です。
新たに就任する役員・支配人が経営業務の管理責任者となる場合は、必要書類が多くなるうえ、提出期限が14日以内と短いので注意しましょう。
また、役員・支配人の追加の変更届を行っていない場合は、建設業許可の更新手続きができなくなるので注意してください。
当事務所は、静岡県の行政書士と社会保険労務士の事務所であり、建設業者の建設業許可取得をサポートする専門家です。
建設業許可取得後の役員・支配人の追加等のアフターフォローも行っております。
静岡県内の建設業者様で、建設業許可取得後にお困りのことがあれば、どのようなことでもご相談ください。