建設業許可業者の社会保険等への加入義務

建設業許可の社会保険加入義務について社労士・行政書士事務所敷地がご説明します。

建設業許可の取得・維持に必要な社会保険等について

令和2年10月の改正建設業法の施行に伴い、建設業許可業者は「適切な社会保険等」に加入していることが義務付けられることとなりました。

このページでは、義務付けられた社会保険等が何なのかについてご説明いたします。

このような方へ向けた内容です。

  1. 社会保険とは何か?と疑問をお持ちの方
  2. 建設業許可に必要な社会保険について知りたい方
  3. どのような時に社会保険に加入するのか知りたい方

建設業許可における適切な社会保険等とは?

適切な社会保険の構成について

上記のご案内の中で、適切な社会保険へ加入している事と書かれていることに疑問を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

はい。その疑問のとおりでして、この文章には2つの事が含まれているんです。1つは適切なという言葉です。もう一つは社会保険です。細分化すると下記のようになります。

適切な社会保険等を細分化してみると

適切な社会保険等① 適切な
  社会保険
② 等

社会保険という言葉の前後に2つの事が関係していることがわかるかと思います。それでは、適切な社会保険とは何なのでしょうか?社会保険等とはどのようなことを意味しているのでしょうか?ご説明いたします。

①建設業許可の適切な社会保険とは?

適切な社会保険についてご説明するその前に、社会保険とはどのようなものなのか概要をご説明します。

社会保険とは

社会保険とは、健康保険と厚生年金保険の2つの公的保険のことを指す総称です。そのほかに、40歳以上の方は介護保険を支払う義務が生じます。この介護保険は健康保険の中に組み込まれて上乗せして支払うもののため表面上は見えにくいですが、実質的にはこれら3つの保険を含んだ意味合いとなります。

再び適切な社会保険についてのお話しに戻ります。

建設業許可を取得・維持していくためには、厚生年金保険、健康保険に加入している事。という事になります。

「社会保険に加入」を図解すると下記のようになります。

社会保険に加入1.厚生年金保険
2.健康保険(介護保険を含む)

どのような時に社会保険の加入義務が生じるのか?

適切なとはどのような意味なのでしょうか?それは社会保険に入らなくてもよい場合もあり得るためです。ご説明します。

法人の場合は設立した時点で社会保険への加入が義務付けられます。ここにも例外はあるのですが、法人の建設業者として事業を行う以上はこの義務から外れる事は無いため省略します。

次に、個人事業主の場合です。常時5人未満の従業員を雇用する事務所の場合はこの社会保険加入義務からは外れます。常時5人以上の従業員を雇用する場合は原則加入が義務づけられます。

健康保険及び厚生年金保険の適用除外の例
  • 常勤の雇用従業員(家族労働者を除く。)が4名以下の個人事務所(短期労働者を除く。)
  • 健康保険の被保険者の適用除外の承認を受けている保険団体(例:全国建設工事業国民健康保険組合、全国土木建築国民健康保険組合等)に加入している場合

社会保険加入義務のまとめ

法人の場合:原則、社会保険加入は義務

個人事業主、一人親方の場合:常勤として雇用する従業員の人数による

②建設業許可の社会保険とは?

このには、社会保険以外の事が含まれていることを指します。それは雇用保険です。建設業許可を取得する上での運用上では労働保険も求められます。具体的には、労働保険番号を建設許可申請の際に記載することが求められるためです。

この雇用保険に加入していないと建設業許可の取得・維持ができない。という事になります。しかし、ここも上記の社会保険と同様に例外があります。まずは雇用保険の加入義務についてみてみましょう。

雇用保険の加入義務とは?

雇用保険の所管である厚生労働省では下記のように定義しています。

労働者を雇用する事業は、その業種、規模等を問わず、農林水産業の一部を除きすべて適用事業となり、その事業主は、労働保険料の納付、雇用保険法の規定による各種の届出等の義務を負うことになります。

厚生労働省HPより

労働者を雇用したら加入が義務。というのが原則的な考え方となります。ここでもまた例外がありますが、まずはどのような労働者を雇用したときに加入が必要となるのかをみていきます。

労働者の雇用保険加入のルール

雇用保険の適用事業所で雇用される次の労働条件のいずれにも該当する労働者は原則すべて被保険者となる。

  1.  1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2.  31日以上の雇用見込みがあること

上記の2つにあてはまる労働者をはじめて雇用することになったら雇用保険に加入が義務づけられることになります。労働保険の場合は労働者を雇い入れた段階で加入義務となるところが異なるところです。

建設業の労働者として雇い入れて上記の要件を下回る事も考えにくいでしょうから、原則としては労働者を雇用したら雇用保険が必要。という理解でよろしいかと思います。

原則、労働者を雇用したら雇用保険・労働保険へ加入

社会保険等の加入義務が無い場合の建設業許可の扱い

社会保険等の加入義務に該当しないこと。言い換えると加入が出来ない状態のことを、適用除外と呼びます。

このように適用除外の場合には建設業許可の取得・維持で必要と言われても加入ができないわけですからどうにもしようがないことになります。

この場合においては、適切な社会保険に加入しているとみなして取り扱いがされますので大丈夫です。適用除外での未加入は建設業許可申請・維持の要件を満たします。

社会保険適用除外での未加入は、建設業許可上は加入とみなして扱われます

75歳以上|後期高齢者医療制度加入者の場合の建設業許可の扱い

75歳以上の方については後期高齢者医療という制度に移行しますため、健康保険の加入義務がなくなります。この場合、適切な社会保険に加入することができないという状態になり、建設業許可の取得・維持はどのようになるのかとお考えになられる方もおられるものと思います。

建設業許可の取得・維持の際には、後期高齢者医療制度に加入している等、適切な保険制度に加入していることを確認されます。ここで証明ができれば問題は無い事となります。

75歳以上の方は後期高齢者医療制度に加入していればOK!

社会保険等への労働者の加入について建設業許可の考え方

社会保険等については、加入義務のある方すべてが加入している事が求められています。従いまして、加入義務のある方が加入していなかった等の事があると加入扱いにならないため、建設業許可においては許可が取得できない事となります。漏れの無いように適切に加入手続きを行いましょう。

なお、上記の加入の有無は従業員本人の意思とは関係ないものとされていますので、本人が入りたくないと言うから加入しなかった。という説明は通らないものとなります。適用除外以外は社会保険の加入は会社や該当事業主の義務となりますことをご留意下さい。

社会保険の加入義務者は全員加入が求められます。(適用除外者を除く)

建設業許可の適切な社会保険等のまとめ

いかがでしたでしょうか。適切な社会保険とは何か?社会保険等とは何のことを指しているのか?ご参考になりましたでしょうか。建設業界や建設業許可においても法令順守の意識や求められる事は一昔前とは様変わりしていることが建設の事業を営まれていて感じられる事かと思われます。また、元請事業者様からは社会保険に加入することや、建設業許可を取得することが求められている。というお話を聞く事も増えてきました。

当事務所では社会保険等の専門家である社会保険労務士と、建設業許可の専門家である行政書士の両方の業務を同時に行いますため、建設業を営まれる方で建設業許可と社会保険等についてご不明点がおありな建設業者様はぜひお問合せくださいませ。

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    この記事を書いた人

    成岡 寛人(ナルオカ ヒロト)のアバター 成岡 寛人(ナルオカ ヒロト) 【社労士・行政書士事務所敷地】代表/社会保険労務士、行政書士、通関士資格者

    ■プロフィール
    建設業許可✕社会保険サポート静岡の運営者
    貿易社労士
    専門分野:建設業関連の許認可、外国人在留資格、貿易業務改善、労働関係相談
    経歴:サラリーマン時代は貿易業界で海外取引及び貿易実務に15年間従事した貿易取引の専門性を持つ士業。通関士有資格者であり貿易社労士として活動の一面もある。海外各地での取引を経て、現在は地元静岡にて地元の建設業者の外部サポーターとして日々尽力している。