建設業許可では、健康保険、厚生年金保険、雇用保険にそれぞれ適切に加入していることが許可要件の一つです。加入義務がない場合は「適用除外」として扱われます。
このページでは、法人と個人事業主で加入義務がどう異なるのか、従業員を雇用した場合にどの保険へ加入するのか、建設国保や適用除外の場合に建設業許可でどのように扱われるのかを解説します。
建設業許可における適切な社会保険等とは?
建設業許可で確認される社会保険等は3種類
建設業許可でいう「適切な社会保険等」とは、すべての建設業者が同じ保険に加入しなければならないという意味ではありません。
建設業許可では、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、その会社・事業所に加入義務があるかを確認し、加入義務がある場合は適切に加入していることが求められます。加入義務がない場合は「適用除外」として扱われます。
| 事業所 | 健康保険 | 厚生年金保険 | 雇用保険 |
|---|---|---|---|
| 法人 | 原則加入 | 原則加入 | 加入対象となる従業員を雇用している場合は加入 |
| 個人事業所・常時5人以上 | 原則加入 | 原則加入 | 加入対象となる従業員を雇用している場合は加入 |
| 個人事業所・常時1~4人 | 原則として適用除外 | 原則として適用除外 | 加入対象となる従業員を雇用している場合は加入 |
※建設国保などに加入している場合は、健康保険について適用除外の承認を受けているケースがあります。また、雇用保険も勤務時間や雇用期間、役員かどうかなどによって加入対象にならない場合があります。
健康保険・厚生年金保険の加入義務|法人と個人事業主の違い
健康保険・厚生年金保険の加入義務は、法人か個人事業所かによって扱いが異なります。個人事業所の場合は、常時使用する従業員の人数も判断基準になります。
法人は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所となり、代表者や常勤役員、加入対象となる従業員について原則として加入が必要です。従業員を何人雇っているかだけで判断するものではありません。
建設業を営む個人事業所は、常時5人以上の従業員を使用する場合、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。常時1~4人の場合は原則として強制適用の対象外で、国民健康保険・国民年金などに加入します。
なお、建設国保に加入している場合や、個人事業主本人・家族従業者など、一般的な従業員とは扱いが異なるケースがあります。
雇用保険の加入義務|従業員を雇用している場合
雇用保険は、法人か個人事業主かではなく、加入対象となる従業員を雇用しているかどうかで判断します。建設業者でも、従業員を1人でも雇用し、その従業員が雇用保険の加入要件を満たす場合は、原則として雇用保険への加入が必要です。
一般的には、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上引き続き雇用される見込みがある労働者が加入対象になります。一方、法人の代表者・役員、個人事業主本人、週20時間未満の労働者などは、原則として雇用保険の対象になりません。
建設業許可では、雇用保険についても「加入」「未加入」「適用除外」のいずれに該当するかを確認します。加入義務があるのに未加入の場合は、適切な社会保険等に加入しているとは扱われません。

社会保険等の加入義務がない「適用除外」の場合
「適用除外」とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、その会社・事業所や本人に加入義務が生じない状態をいいます。加入義務があるのに加入手続きをしていない「未加入」とは異なります。
建設業許可では、健康保険・厚生年金保険・雇用保険ごとに「加入」「未加入」「適用除外」のいずれに該当するかを確認します。加入義務がないため「適用除外」に該当する場合は、その保険について、建設業許可上は適切な社会保険等に加入しているものとして扱われます。
例えば、常時使用する従業員が1~4人の個人事業所は、健康保険・厚生年金保険について原則として適用除外です。また、法人の代表者や個人事業主本人は、原則として雇用保険の対象になりません。
一方、加入義務があるにもかかわらず未加入の場合は、「適用除外」ではなく「未加入」となり、建設業許可の社会保険等の要件を満たしません。
75歳以上の方の健康保険|後期高齢者医療制度への加入を確認
75歳以上の方は、原則として健康保険の被保険者ではなくなり、後期高齢者医療制度の対象になります。建設業許可では、健康保険の加入義務がないことだけでなく、後期高齢者医療制度など適切な医療保険制度に加入していることを確認します。
そのため、75歳以上で後期高齢者医療制度に加入している場合、健康保険について「未加入」として扱われるわけではありません。
なお、厚生年金保険は健康保険とは年齢による扱いが異なります。厚生年金保険の被保険者としての加入は原則70歳までで、70歳以上でも適用事業所で働く場合は「70歳以上被用者」として届出が必要になることがあります。
建設業許可では加入対象者全員の社会保険等への加入が必要
建設業許可では、健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、加入義務のある人が全員加入していることを確認します。例えば、加入対象となる従業員が3人いるのに2人しか加入していない場合は、その保険について「加入」とは扱われません。
社会保険等への加入は、従業員本人が「入りたくない」と希望したかどうかで決めるものではありません。法律上の加入要件を満たす場合は加入手続きが必要です。適用除外に該当する人を除き、加入対象者に漏れがないか確認します。
建設業許可の適切な社会保険等のまとめ
建設業許可で確認される社会保険等は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つです。すべての建設業者が同じ保険に加入するのではなく、それぞれの会社・事業所や働く人について加入義務があるかを判断します。
法人は健康保険・厚生年金保険への加入が原則必要です。個人事業所は、常時使用する従業員が5人以上か、1~4人かによって扱いが変わります。雇用保険は法人・個人の区別ではなく、加入対象となる従業員を雇用しているかで判断します。
加入義務がない場合は「適用除外」となり、建設業許可上の要件を満たします。一方、加入義務があるにもかかわらず手続きをしていない「未加入」は、適用除外とは別で、新規・更新等の許可申請では社会保険等の要件を満たしません。
また、建設国保に加入している場合は、健康保険の適用除外承認を受けているかなどを確認します。法人の場合、建設国保に加入していても厚生年金保険は別に確認する必要があります。
「建設国保に入っているので問題ないのか」「法人化したら何の手続きが必要になるのか」「従業員を初めて雇うので雇用保険にも入る必要があるのか」など、自社の加入状況が建設業許可の要件を満たしているか分からない場合は、現在の加入状況と従業員構成を確認したうえでご案内します。
建設業許可と社会保険等についてよくある質問
- 社会保険に加入していないと建設業許可は取れませんか?
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健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、加入義務があるにもかかわらず未加入の場合は、建設業許可の「適切な社会保険等」の要件を満たしません。一方、加入義務がなく「適用除外」に該当する場合は、未加入とは扱いが異なり、建設業許可の要件を満たします。
- 個人事業主で従業員が4人以下なら社会保険に加入しなくてもよいですか?
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建設業を営む個人事業所で常時使用する従業員が1~4人の場合、健康保険・厚生年金保険は原則として強制適用の対象外です。ただし、雇用保険は別に判断します。加入対象となる従業員を雇用している場合は、従業員が1人でも雇用保険への加入が必要になることがあります。
- 建設国保に加入していれば、建設業許可の社会保険要件は問題ありませんか?
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建設国保に加入しているだけで必ず要件を満たすわけではありません。法人など健康保険の強制適用事業所の場合は、健康保険の適用除外承認を受けて建設国保に加入しているかを確認します。また、法人では厚生年金保険の加入についても別に確認します。
- 従業員がいない法人でも社会保険への加入は必要ですか?
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法人は、従業員の人数だけで健康保険・厚生年金保険の加入義務を判断するものではありません。代表者や常勤役員が加入対象となる場合は、従業員がいない法人でも原則として健康保険・厚生年金保険への加入が必要です。一方、雇用保険は加入対象となる労働者を雇用していなければ通常は対象になりません。
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