建設業許可の経営業務管理責任者について解説します。
当事務所は建設業者の外部支援事務所として取り組みを行っている社会保険労務士と行政書士の事務所です。代表の成岡寛人と申します。
事務所所在地は静岡県静岡市駿河区です。
主に建設業者が必要とする各種手続き業務を承り、また、労働関係法令をふまえた労務相談等でご活用いただいています。具体的には、建設業許可、更新、決算変更届、経営事項審査、入札、労災特別加入、社会保険、労働保険、雇用保険、その他、建設業許可業者が必要とする各種手続きと、それに付随するアドバイス業務を行っています。
そんな建設業関係手続きの専門家が、建設業許可業者として事業を行い、継続する上で必要な手続きの代行を承りますためご案内いたします。
代表の成岡寛人です。よろしくお願いします。
当事務所では建設業支援を打ち出しています。
当事務所はこのように建設業支援事務所として取り組んでいる建設業許可関連の専門家です。
建設業に関する手続きは安心してご相談ください。
建設業許可の許可基準
建設業の営業の禁止を解除するための建設業許可
建設業者は軽微な建設工事となるものを除き、建設業許可を受けずに建設工事を営業することは禁止されています。建設業者は建設業許可を取得することにより、この営業の禁止を解除されて営業ができるようになります。そのため、建設業を営業したい場合には、建設業許可を取得する必要があるということになります。
この建設業許可を取得するためには4つの許可基準と欠格要件をクリアする必要があり、その許可基準の1つに経営業務の管理責任者を設置することが求められています。
建設業許可の5大要件
4つの許可基準と欠格要件のどれか1つが欠けても建設業許可は取得ができません。全ての要件を満たす必要があります。ここではまとめて5大要件として扱います。
4つの許可基準と欠格要件(5大要件)
- 経営業務管理責任者
- 営業所の専任技術者
- 誠実性
- 財産的基礎
- 欠格要件
この5大要件の1つに経営業務の管理責任者の要件があるため、ここをクリアする必要があります。このページではこの建設業許可の経営業務管理責任者に絞って解説をいたします。
その他の要件については下記のページをご参照ください。
経営業務の管理責任者とは
経営業務管理責任者が求められる根拠
建設業許可を取得する上では経営業務の管理責任者を置くことが求められていることをご説明しましたが、こちらが求められる根拠は建設業法第7条第1号と建設業法第15条第1号となります。
許可の基準
(許可の基準)
国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
建設業法第7条第1号より
上記の建設業法第7条は一般建設業許可について述べられております。建設業法第15条は特定建設業許可についてのことで、内容としては7条の一般建設業許可と同等なので省略します。詳しくは条文をご確認ください。
条文の内容を下記に分けてご説明します。
建設業許可には2種類のタイプがあります。国土交通大臣許可と都道府県知事許可によるものです。
ここで述べられていることはこのどちらの建設業許可であっても基準に適合していると認める時でなければ許可してはならないとされていることです。
経営業務の管理は適正に行うことができる人というのみでは要件を満たしません。建設業の経営業務の管理を適正に行うに足りる能力ということになるので、原則は建設業以外の会社においての経営業務の管理の経験では要件を満たさず、それでは建設業許可が下りないという意味合いになります。
国土交通大臣許可又は都道府県知事許可を受けるためには建設業にかかる経営業務の管理責任者が必要です。
建設業の経営業務管理責任者に求められること
上記の根拠条文の他に求められることがまだ他にもあるので下記にご案内します。
建設業の経営業務管理責任者に求められる概要
- 建設業にかかる経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合するものであること
- 欠格要件に該当しないこと
- 適切な経営能力を有すること
- 適切な社会保険に加入していること
適切な経営能力とは(建設業の経営経験)
次の(イ)、(ロ)のどちらかに該当する場合には適切な経営能力を有するものとして認められます。
(イ)常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当すること
区分 | 経営能力を認める経験 | ポイント |
(イ)-1 | 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者 | ・建設業 ・5年以上 ・経営業務の管理責任者 |
(イ)-2 | 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者 | ・建設業 ・5年以上 ・準ずる地位 ・経営業務を管理 |
(イ)-3 | 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者 | ・建設業 ・6年以上 ・準ずる地位 ・補佐する業務 |
建設業許可手続きのご依頼をいただく際には(イ)-1のパターンであることが一般的です。
上記にある、5年又は6年以上という経験期間は、異なる業種の経験の合算が認められています。
例えば下記のようになります。
経営経験合算の例
(例1)
電気工事業の経営業務経験3年1月+管工事業の経営業務経験2年2月=合計5年3月 区分(イ)-1に該当
(例2)
塗装事業の経営業務補佐経験4年8月+防水工事業の経営業務補佐経験1年9月=合計6年5月 区分(イ)-3に該当
法人の場合:常勤役員
個人の場合:個人事業主の方又は支配人
静岡県においては、建設業の役員経験、執行役員経験及び補佐経験は常勤の者に限り認められています。
(ロ)常勤役員等を直接補佐するものとしての経験
こちらの区分(ロ)については、建設業許可申請手続きの実務においては該当することが稀で、またそれを証明することが難しくもあります。静岡の地で現時点において対象となることは低いものでありますが、ご参考のため下記にてご案内いたします。
区分 | 経営能力を認める経験 | 直接補佐をする者の経験 |
(ロ)-1 | 建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の建設業の役員等または役員等に次ぐ職制上の地位(財務管理、労務管理又は業務運営業務を担当する者に限る。)における経験を有する者 | A:許可申請等を行う建設業者等において5年以上の財務管理の経験を有する者 |
B:許可申請等を行う建設業者等において5年以上の労務管理の経験を有する者 | ||
C:許可申請等を行う建設業者等において5年以上の運営業務の経験を有する者 | ||
(ロ)-2 | 建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等の経験を有する者 | A:許可申請等を行う建設業者等において5年以上の財務管理の経験を有する者 |
B:許可申請等を行う建設業者等において5年以上の労務管理の経験を有する者 | ||
C:許可申請等を行う建設業者等において5年以上の運営業務の経験を有する者 |
上記の区分(ロ)は、ご自身の建設業役員経験が5年を満たしていないけれども、2年以上の建設業の役員経験に、他の会社(他業種)の役員経験又は建設業の役員等に次ぐ職制上の地位(申請する会社の財務管理、労務管理又は運営業務に限る。)の在籍期間を加えて5年以上になれば、申請する会社の「財務管理」、「労務管理」及び「運営管理」の経験を5年以上有する者を補佐に置くことによって、経営業務の管理責任者の要件を満たすことを定めたものです。
つまり、区分(イ)で該当しなかった場合に、区分(ロ)になるわけですが、上記の記載のようにいくつかの条件に該当する場合を合算していくことになり、それぞれの経験を証明していく必要があります。よくあるパターンとして、会社でその職制で働いていたという認識と説明だけでは足らず、実態として正式にその職制に就いていた事を資料を持って証明をしていくものになるので、経営経験を認めてもらうための難易度は上がるものになります。
各管理と内容についての説明
業務経験名 | 経験の内容 |
財務管理 | 建設工事を施工するに当たって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどを行う部署におけるこれらの業務経験 |
労務管理 | 社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続を行う部署におけるこれらの業務経験 |
業務運営 | 会社の経営方針や運営方針を策定、実施する部署におけるこれらの業務経験 |
適切な社会保険等への加入(健康保険、厚生年金保険及び雇用保険)
社会保険等のうち、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険にそれぞれ適切に加入している方が、経営業務の管理を適切に行うに足りる能力を有する者と認められます。
このうち健康保険及び厚生年金保険は、法人及び常時5人以上の従業員を雇用している事務所が原則加入する義務があります。
社会保険等については、加入義務のある方すべてが加入していなければ、加入扱いになりません。なお、これらの加入は従業員本人の意思とは関係ありません。
社会保険についての参考記事
雇用保険は法人や個人事業主で従業員を1名でも雇用している場合は原則加入する義務があります。
雇用保険についての参考記事
このように、経営業務の管理責任者のみならず会社として適切に社会保険に加入していることが建設業許可申請に求められることとなっているため、対象となる会社や個人は社会保険等(厚生年金、健康保険、雇用保険)に加入する手続きが必要です。
当事務所は社会保険労務士でもありますので、社会保険関係の加入が必要な際はお手続きいたしますのでお申し付けください。
顧問契約は不要です。
常勤の役員とは
役職での該当性
役職に応じて常勤の役員となりうるのかどうかが分かれます。名称だけでなく、実態としてそのようになっているのかを証明書類にて証明することが求められます。例えば取締役であれば、登記簿に記載がされている事により確認されます。
常勤の役員に含まれる役職
- 取締役・・・株式会社の取締役をいう(会社法第329 条)
- 業務を執行する役員・・・持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)の業務を執行する社員をいう
- 執行役・・・指名委員会等設置会社の執行役をいう(会社法第418 条)
- これらに準ずるもの・・・法人格のある各種組合等の理事等
常勤の役員に含まれない役職(原則)
- 執行役員
- 監査役
- 会計参与
- 監事
- 事務局長等
単に社内等の呼称とされる場合の下記の方も含まれません。
- 専務
- 常務
- 支配人・・・営業主に代わって、その営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をなす権限を有する使用人をいう(商法第20 条、第21 条)
取締役、執行役、支配人については、登記されていることが必要
常勤性
法人税確定申告書の役員報酬欄で常勤(本社、本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している状況(テレワークを行う場合を含む。))の方をいいます。
経営業務の管理責任者 まとめ
いかがでしたでしょうか。経営業務の管理責任者とはどういった方が該当するのかご理解いただけましたでしょうか。この経営業務の管理責任者であるかどうかというのは目的とされている建設業許可取得のための1つの要件でしかありませんため、その他の要件を満たすことも必要であり、その一つ一つをご自身で確認していくというのはとても大変な作業にもなります。
当時事務所では、建設業許可申請の手続き代行を承っており、その代行作業の中で経営業務の管理責任者をはじめとした全ての要件が適合しているのかどうかを確認し、御社の建設業許可取得に向けたお手伝いをさせていただいております。
まずは当事務所へご相談ください。