建設業許可を取得している会社が新しい支店や営業所を設ける場合、事務所を用意して営業所新設の変更届を提出するだけでは足りません。
新しい場所が建設業法上の「営業所」に当たるのか、その営業所でどの許可業種を営業するのか、営業所技術者等を誰にするのか、従たる営業所を代表する令第3条に規定する使用人を誰にするのかを確認する必要があります。
特に注意したいのが届出期限です。
営業所の新設は変更後30日以内ですが、営業所技術者等や令第3条に規定する使用人に関する変更は14日以内です。そのため、営業所を開設してから30日以内に考えればよいのではなく、営業開始前に人員と営業業種を確認しておく必要があります。静岡県の現行手引でも、営業所新設は30日以内、営業所技術者等や令第3条使用人に関する変更は2週間以内とされています。
| 新設前に確認すること | 確認する内容 |
|---|---|
| 営業所の実態 | その場所で見積り、入札、請負契約等の建設業の営業を行うのか |
| 営業する許可業種 | 会社が持つ許可のうち、新営業所でどの業種を営業するのか |
| 令第3条に規定する使用人 | 新営業所を代表して請負契約等を行う者を誰にするのか |
| 営業所技術者等 | 新営業所で営業する業種について資格・実務経験等の要件を満たす者がいるか |
建設業法上の「営業所」とは
建設業法上の営業所とは、本店、支店または常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
ここでいう請負契約の締結は、契約書に署名する行為だけではありません。見積り、入札、契約締結など、建設工事の請負契約に関する実質的な行為を行う事務所も建設業法上の営業所に該当します。
また、本店や支店で直接契約を締結していなくても、他の営業所に対して請負契約について指導・監督するなど、建設業の営業に実質的に関与している場合は営業所に該当することがあります。
一方、工事現場のためだけに設けた事務所や資材置場など、建設工事の請負契約に関する営業を行っていない場所は、通常は建設業法上の営業所には該当しません。
国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでも、営業所について、見積り、入札、契約締結等の請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所としています。
500万円未満の工事だけでも、許可業種の営業は届出済みの営業所で行います
「500万円未満の工事しか扱わない営業所なら、建設業許可の営業所として届け出なくてもよいのではないか」と考えることがありますが、すでに建設業許可を受けている業種については注意が必要です。
許可を受けた業種については、軽微な建設工事だけを請け負う場合であっても、届出をしている営業所以外でその業種の営業を行うことはできません。
そのため、新しい拠点で見積りや入札、請負契約などを行うのであれば、工事金額だけで営業所の届出が必要かどうかを判断するものではありません。
営業所新設では、実際に建設業の営業を行う場所か確認されます
営業所新設の変更届では、所在地を届け出るだけではなく、その場所に建設業の営業所としての実態があるかを確認します。
静岡県の手続では、営業所の状況が分かる写真などによって営業所の実態を確認します。また、自己所有の建物なのか、賃貸物件なのかなど、その場所を営業所として使用できることも確認します。
そのため、会社の登記上「支店」とされているかどうかだけで建設業法上の営業所になるわけではありません。実際にその場所で建設業の営業を行う状態になっているかが基準になります。
営業所を新設する際は、物件の所在地だけでなく、その場所をどのように使用するのか、そこで見積りや契約等を行うのかまで確認してから変更届の準備を進めます。
新しい営業所で営業する建設業の業種を決めます
建設業許可は会社として取得しますが、営業所を新設するときは、その営業所でどの許可業種を営業するのかを決めます。
例えば、会社として「とび・土工工事業」「塗装工事業」「防水工事業」の許可を持っていても、新しい営業所ですべての業種を営業しなければならないわけではありません。
新しい営業所では塗装工事業だけを営業する、といった届出も可能です。
一方、新しい営業所で営業したい業種について会社自体がまだ許可を持っていない場合は、営業所新設の変更届だけでは足りず、建設業許可の業種追加が必要になります。
また、新しい営業所で営業する業種は、次に説明する営業所技術者等の資格・実務経験とも関係します。
そのため営業所を新設するときは、先に「新しい営業所でどの工事を受注する予定なのか」を確認し、その業種について営業所技術者等を置けるかを確認します。
新しい営業所には営業所技術者等が必要です
建設業の営業所には、その営業所で営業する建設業について、一定の資格または実務経験等の要件を満たす営業所技術者等を置く必要があります。
以前「専任技術者」と呼ばれていた者で、現在は一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」とされています。
例えば、新しい営業所で「とび・土工工事業」と「塗装工事業」を営業する場合には、この2業種について営業所技術者等となれる者が必要です。
1人が複数の業種について必要な資格・実務経験等の要件を満たしていれば、同じ営業所で複数業種の営業所技術者等を兼ねることができます。
一方、営業所技術者等は営業所ごとに置く必要があります。そのため、現在本店の営業所技術者等となっている人を、そのまま本店と新しい営業所の両方の営業所技術者等として置くことはできません。
営業所を増やすときに資格者が不足するケースもあるため、物件だけを先に決めるのではなく、新営業所で営業する業種と、その業種の営業所技術者等になれる人を同時に確認する必要があります。
従たる営業所には令第3条に規定する使用人を置きます
本店以外に支店・営業所を設ける場合には、その営業所を代表する者として、建設業法施行令第3条に規定する使用人を置きます。
「使用人」という名称ですが、一般の従業員を指しているわけではありません。
支店長や営業所長など、代表者から権限を与えられ、その営業所における建設工事の見積り、入札、請負契約の締結や履行について一定の権限を持つ者が該当します。
令第3条に規定する使用人は、その営業所に常勤していることが必要です。
令第3条に規定する使用人と営業所技術者等は役割が違います
令第3条に規定する使用人は、営業所を代表して請負契約等を行う立場です。
一方、営業所技術者等は、その営業所で営業する建設業について技術上の要件を満たす者です。
この2つは別の役割ですが、同じ営業所で1人の人が双方の要件を満たしていれば兼ねることができます。
そのため、営業所を新設するときに「1人置けばよい」と先に決めるのではなく、令第3条に規定する使用人としての要件と、営業所技術者等として営業予定業種を担当できるかをそれぞれ確認します。
静岡県内の営業所新設と県外の営業所新設では手続が変わります
現在、静岡県知事許可を受けている建設業者が、静岡県内に新しい営業所を設けて建設業を営む場合は、引き続き静岡県知事許可のまま、営業所新設の変更届を提出します。
一方、静岡県知事許可の建設業者が、愛知県や山梨県など静岡県外にも建設業の営業所を設ける場合は、2以上の都道府県に営業所を設けて建設業を営むことになります。
この場合は、営業所新設の変更届ではなく、国土交通大臣許可への許可換え新規申請が必要です。
そのため、県外に営業所を設ける予定の場合は、新しい営業所で建設業の営業を開始する前に、大臣許可への変更が必要になるか確認します。
なお、県外に事務所や資材置場を設けても、そこで見積り、入札、請負契約等の建設業の営業を行わない場合は、建設業法上の営業所に該当するかを別途判断します。
静岡県の手引でも、一つの都道府県内だけに営業所を置く知事許可から、2以上の都道府県に営業所を置く場合は大臣許可へ許可換えする仕組みが示されています。
営業所新設の提出期限|30日と14日を混同しない
営業所を新設すると、営業所そのものだけでなく、営業所技術者等や令第3条に規定する使用人についても届出が必要になることがあります。
それぞれ提出期限が異なります。
| 届出内容 | 提出期限 |
|---|---|
| 営業所の新設 | 変更後30日以内 |
| 営業所技術者等の変更・追加 | 変更後14日以内 |
| 令第3条に規定する使用人の変更 | 変更後14日以内 |
営業所新設自体には30日の期限がありますが、新しい営業所に営業所技術者等や令第3条に規定する使用人を置く場合、その人的変更については14日以内です。
したがって、「営業所新設だから30日以内に提出すればよい」と考えるのではなく、営業所新設に伴う変更を確認し、14日以内の届出がある場合はその期限に合わせて準備します。
静岡県の現行手引でも、営業所技術者等と令第3条に規定する使用人は「事実の発生したときから14日以内」、営業所新設は「事実の発生したときから30日以内」と区分されています。
静岡県で営業所を新設するときの主な必要書類
静岡県知事許可で営業所を新設する場合は、営業所に関する書類だけでなく、新しい営業所に置く令第3条に規定する使用人や営業所技術者等に関する書類も確認します。
主な書類は次のとおりです。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 営業所新設 | 変更届出書(様式第22号の2・第一面、第二面)、登記事項証明書(登記された営業所の場合)、営業の沿革(様式第20号)、営業所の写真 |
| 令第3条に規定する使用人 | 誓約書(様式第6号)、令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号)、住所・生年月日等に関する調書(様式第13号)など |
| 営業所技術者等 | 営業所技術者等一覧表、営業所技術者等証明書(様式第8号)、資格証明書・実務経験証明書等、必要な確認資料 |
営業所が商業登記されていない場合は、営業所についての登記事項証明書が不要となる場合があります。また、令第3条に規定する使用人がすでに会社の役員等として届け出られている場合など、状況によって省略できる書類もあります。
営業所技術者等についても、国家資格で要件を満たすのか、実務経験を使用するのかによって提出する証明書類が変わります。
そのため、必要書類を集める前に、新しい営業所で営業する業種、令第3条に規定する使用人、営業所技術者等を決め、それぞれの状況に応じて提出書類を特定します。
静岡県の現行手引では、営業所新設について変更届出書・登記事項証明書・営業の沿革に加え、営業所技術者等、令第3条に規定する使用人、営業所写真に関する書類を確認することとされています。
営業所を新設する前に確認しておきたいケース
営業所新設の変更届は、営業所の場所、人員、営業する許可業種が決まっていれば進めやすい手続です。
一方、次のような場合は、物件契約や営業開始の前に建設業許可上の要件を確認しておいた方が安全です。
- 新しい営業所で複数の許可業種を営業したい
- 営業所技術者等になれる人が限られている
- 営業所技術者等の要件を実務経験で証明する必要がある
- 誰を令第3条に規定する使用人にするか決まっていない
- 新しい拠点が建設業法上の営業所に該当するか判断しにくい
- 静岡県外にも営業所を設ける予定がある
- 営業所新設と同時に、新しい建設業の業種を追加したい
特に営業所技術者等は、新しい営業所で営業する業種について要件を満たす人を配置できるかが営業所新設に直接関係します。
物件を契約してから「希望する業種を営業できる営業所技術者等がいない」と分かると、予定していた営業内容や開設時期を変更しなければならないことがあります。
行政書士事務所敷地が営業所新設で確認・代行すること
行政書士事務所敷地では、静岡県の建設業許可業者が営業所を新設するときに、現在の許可内容と新しい営業所の状況を確認した上で必要な届出を行います。
具体的には、次の確認・書類作成・提出を行います。
- 現在取得している建設業許可の業種を確認
- 新しい営業所で営業する業種を確認
- 営業所技術者等候補者の資格・実務経験等を確認
- 営業所技術者等候補者が新しい営業所に常勤できるか確認
- 令第3条に規定する使用人となる人と、その営業所で持つ権限を確認
- 営業所の所在地と使用状況を確認
- 必要な変更届・添付書類を作成
- 静岡県へ提出
- 行政庁から補正の指示があった場合は、指示内容を確認し、必要な書類の修正・追加提出を行う
「営業所を開設すること自体は決まっているが、誰を営業所技術者等にすればよいか分からない」「現在持っている許可業種を新しい営業所ですべて営業できるか確認したい」といった段階でもご相談いただけます。
建設業許可の営業所新設にかかる料金
行政書士事務所敷地の営業所の新設・業種変更の報酬は55,000円(税込)です。
営業所新設に伴い、別途、営業所技術者等の追加や令第3条に規定する使用人の変更などが必要になる場合は、その手続内容に応じた報酬が加わります。
現在の料金表では、営業所技術者等の追加は33,000円(税込)~、令第3条に規定する使用人の変更は33,000円(税込)です。実務経験の証明作業が必要な場合には、別途作業料が発生することがあります。
建設業許可に関する詳しい報酬額は「建設業許可・変更届の料金表」をご確認ください。
営業所新設と一緒に確認したい建設業許可の手続
営業所新設では、新しい営業所の状況によって別の建設業許可手続が関係することがあります。
新しい営業所で営業する業種について会社がまだ許可を持っていない場合は、建設業許可の業種追加が必要です。
新しい営業所に営業所技術者等を追加するときは、営業所技術者等の追加手続も確認してください。
営業所新設以外の役員変更、商号変更、営業所移転などについては、建設業許可変更届の総合ページで確認できます。
静岡県外への営業所新設を検討している場合は、知事許可と国土交通大臣許可の違いも確認してください。
建設業許可の営業所新設についてよくある質問
- 新しい営業所では、会社が持っている許可業種をすべて営業できますか?
-
会社が許可を持っているだけでは、新しい営業所ですべての業種をそのまま営業できるわけではありません。
新しい営業所で営業する業種を届け出るとともに、その業種について要件を満たす営業所技術者等を置く必要があります。
例えば、会社が3業種の許可を持っていても、新しい営業所ではそのうち1業種だけを営業することもできます。
- 本店の営業所技術者等を新しい営業所と兼任できますか?
-
原則としてできません。
営業所技術者等は営業所ごとに置く必要があるため、本店の営業所技術者等となっている人を、そのまま本店と新しい営業所の両方の営業所技術者等として置くことはできません。
営業所を増やす場合は、新しい営業所で営業する業種について営業所技術者等になれる人がいるかを事前に確認します。
- 令第3条に規定する使用人と営業所技術者等は同じ人でもよいですか?
-
同じ営業所で、その人がそれぞれの要件を満たしていれば兼ねることができます。
ただし、令第3条に規定する使用人は営業所を代表して請負契約等を行う立場であり、営業所技術者等は営業する建設業について技術上の要件を満たす者です。
役割は別なので、それぞれの要件を確認します。
- 営業所を新設した場合、変更届は30日以内に出せばよいですか?
-
営業所新設そのものは変更後30日以内ですが、営業所技術者等や令第3条に規定する使用人の変更は14日以内です。
そのため、営業所新設に伴って人的変更がある場合は、30日ではなく14日の期限を基準に準備する必要があります。
- 静岡県知事許可の会社が県外に営業所を設ける場合も変更届ですか?
-
建設業の営業所を静岡県外にも設ける場合は、2以上の都道府県に営業所を置くことになるため、通常の営業所新設変更届ではなく、国土交通大臣許可への許可換え新規申請が必要になります。
ただし、県外に設ける場所が建設業法上の営業所に該当するかどうかは、そこで行う業務内容によって判断します。
静岡県で建設業許可の営業所新設を予定している方へ
建設業許可の営業所を新設するときは、物件の所在地だけでなく、
- 新しい営業所で営業する許可業種
- 営業所技術者等になれる人
- 令第3条に規定する使用人
- 営業所としての使用状況
- 14日・30日の届出期限
を確認した上で手続を進める必要があります。
行政書士事務所敷地では、現在の建設業許可の内容と新しい営業所の予定を確認し、必要な変更届・添付書類を作成して静岡県へ提出します。
「営業所を増やしたいが、誰を営業所技術者等にすればよいか分からない」「新しい営業所で現在の許可業種をすべて営業できるか確認したい」という段階でもご相談いただけます。
営業所の所在地、新しい営業所で営業する予定の業種、営業所長候補者、営業所技術者等候補者が分かる場合は、その内容をお知らせください。

