静岡県で建設業許可取得後に必要な配置技術者について解説
建設業許可を取得した建設業者が、建設工事を請け負うには確かな施工技術が必要です。そのために建設現場で施工管理に当たる技術者のことを配置技術者と言います。
配置技術者には、主任技術者と監理技術者があり、それぞれ、資格要件が異なります。
建設業許可を取得すると、営業所技術者の他、配置技術者も必要になります。両者の関係や兼務は可能なのかについて解説します。
このような方に向けた記事です
- 配置技術者とは何かを知りたい方
- 主任技術者と監理技術者の違いを知りたい方
- 営業所技術者との違いを知りたい方
- 主任技術者と監理技術者になるための資格を知りたい方 等
配置技術者とは?
建設工事を施工する際は、建設工事の内容を熟知した技術者が、工事現場で施工の管理や監督を行う必要があります。
その技術者のことを配置技術者と言い、原則として現場ごとに配置することが求められています。
建設業許可では、営業所ごとに営業所技術者の設置が求められていますが、配置技術者は営業所技術者とは別に、現場ごとに必須とされる技術者のことです。
配置技術者には、主任技術者と監理技術者の2種類があります。
総称 | 個別の名称 |
配置技術者 | 主任技術者 |
監理技術者 |
主任技術者とは?
建設工事の施工管理を行うために、⼯事現場ごとに設置される技術者のことです。
建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
建設業法第26条 (主任技術者及び監理技術者の設置等)
ここで、「建設業者」とはどのような事を指しているのかを確認します。
この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
建設業法第2条第3項 (定義)
第3条第1項は建設業許可の事ですので、建設業者とは、建設業許可を受けた業者の事になります。
つまり、建設業者(建設業許可を受けた業者)は、請負金額や、元請けか下請けかに関係なく、主任技術者を必ず設置しなければならないことになります。
注意点としては、軽微な工事(500万円未満)であっても、建設業者は主任技術者の設置が義務づけられていることがあります。
■ポイントのまとめ
- ・建設業者とは
-
建設業許可を受けた業者
- ・建設業者の義務
-
主任技術者の設置
- ・建設業者の注意点
-
軽微な工事でも主任技術者の設置が義務
監理技術者とは?
大きな現場の建設工事の施工管理は、より専門的な知識や経験を持った技術者が施工管理を行う必要があります。その技術者のことを監理技術者と言います。
発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。
建設業法第26条第2項 (主任技術者及び監理技術者の設置等)
上記の条文より、監理技術者の設置が必要になる要点をまとめると次の場合となります。
下記のすべてを満たす場合が該当
- 元請けの建設業者であること
- 特定建設業者であること
- 下請け業者への発注総額が5,000万円以上(建築⼀式⼯事の場合は8,000万円以上)の契約を締結
これらの条件を満たす建設業者は、主任技術者に代わり、監理技術者の設置が義務となります。
建設業許可を受けたら必ず配置技術者が必要になる
配置技術者は、建設業許可を受けた建設業者が施工する場合に工事現場ごとに設置が義務付けられています。
そのため、建設業許可を受ける際は、原則として、営業所技術者以外にも配置技術者となりうる人材が必要になります。
原則として必要になるのが、主任技術者です。
一方、監理技術者は、元請けとなる特定建設業者の場合のみ必要になります。
なお、元請けとなる特定建設業者でも、下請けを使わない場合や、下請けに依頼しても請負金額が5,000万円以下(建築⼀式⼯事の場合は8,000万円以下)であれば、監理技術者ではなく、主任技術者を設置すればよいことになります。
まとめると下記となります。
建設業の種類 | 元請け | 下請け |
特定建設業 | 監理技術者 ※下請けへの発注総額5,000万円以上(建築一式の場合は8,000万円以上)の場合 | 主任技術者 |
一般建設業 | 主任技術者 |
配置技術者は現場ごとの専任でなければならない?
配置技術者は、原則として、建設工事の現場ごとに専任である必要はありません。
ただ、公共性のある施設や工作物、多数の者が利用する施設や工作物の建設工事現場では、専任の配置技術者が必要とされています。
下記2点の両方を満たす場合には専任の配置技術者の配置が必要
- 工事一件の請負代金の額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上であること。
- 建設業法施行令27条に規定されている施設や工作物の建設工事であること。
営業所技術者が主任技術者や監理技術者を兼務できるのか?
主任技術者や監理技術者になるためには、実務経験や資格が必要です。
原則として、営業所技術者とは別に、主任技術者や監理技術者の設置が必要とされているので、人手不足や人件費などからして、確保が難しいこともあるでしょう。
このような場合は、営業所技術者が主任技術者や監理技術者を兼務できないのでしょうか?
結論から言うと、専任の必要がない工事現場なら、営業所技術者が主任技術者や監理技術者を兼務することも可能です。
その際は次のような要件を満たすことが求められます。
- 営業所技術者が所属する営業所において締結した請負契約に係る建設工事であること。
- 営業所と近接した場所の工事現場であること。
- 営業所と工事現場の間で常時連絡が取れる体制になっていること。
専任を要する工事現場と、専任を要しない工事現場での兼任も一定の要件を満たせば可能です。
建設業者と配置技術者の雇用関係
建設業者と配置技術者の雇用関係は、直接的かつ恒常的な雇⽤関係になっていることが求められています。
直接的な雇⽤関係なので、他の会社に在籍して出向している人や派遣社員などを配置技術者とすることは原則できません。
また、恒常的な雇⽤関係なので、請け負った建設工事のためだけに短期雇⽤した人を配置技術者とすることもできません。
原則は建設業者で在籍勤務する正社員が該当となります。
配置技術者の資格要件
配置技術者の資格要件は、主任技術者と監理技術者とで大きく異なります。
主任技術者
建設業の業種ごとに異なりますが、おおむね次のいずれかを満たすことにより、主任技術者となることができます。
- 該当の国家資格(例:1級施工管理技士)を取得すること。
- 該当の国家資格(例:1級施工管理技士補)の資格取得後、3年以上の実務経験を積むこと。
- 該当国家資格(例:2級施工管理技士)の取得後、5年以上の実務経験を積むこと。
- 学歴に応じて3年以上、5年以上、10年以上の実務経験を積むこと。
※許可を受けようとする建設業種ごとに該当の国家資格は異なります。
なお、資格は、施工管理技士だけでなく、様々な資格があります。
例えば、
土木一式工事であれば、2級建設機械施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木)
建築一式工事であれば、2級建築施工管理技士(建築)、2級建築士
といった資格を取得すれば、主任技術者になることができます。
監理技術者
監理技術者になるための要件は建設業種により異なります。
指定建設業と呼ばれる土木工事業(土木一式工事)、建築工事業(建築一式工事)、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種は、次のいずれかの資格を取得する必要があります。
- 1級施工管理技士
- 1級建築士
- 技術士
例えば、
土木一式工事であれば、1級建設機械施工管理技士、1級土木施工管理技士、技術士
建築一式工事であれば、1級建築施工管理技士、1級建築士
といった資格を取得すれば、監理技術者になることができます。
その他の業種については、1級施工管理技士などの資格の他、実務経験により監理技術者になることができます。
ただ、実務経験のうち、2年以上の期間は、指導監督的実務経験と呼ばれる経験を有していることが求められます。
監理技術者の資格要件は、おおむね、特定建設業の営業所技術者となるための資格と同じです。
まとめ
建設工事を施工するにあたっては、原則として、現場に配置技術者(主任技術者又は監理技術者)を置く必要があります。営業所技術者とは別に必要なので、人材不足で設置が難しいというケースもあるでしょう。
そのような場合は、営業所技術者との兼務も可能です。
当事務所は、静岡県の行政書士と社会保険労務士の事務所であり、建設業者の建設業許可取得をサポートする専門家です。
静岡県内の建設業者様で、配置技術者の要件などに関してお悩みのことがあれば、どのようなことでもご相談ください。