厚生年金は、法人(建設会社など)なら加入が必要です。個人事業の建設業でも、従業員を常時5人以上雇う場合は、原則として厚生年金(健康保険・厚生年金)の加入対象になります。
これらの事業所に常時雇用される方(原則70歳未満)は、働き方等の要件に応じて厚生年金の対象となります。
そして、建設業許可の申請(新規・更新)では、適切な社会保険等(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入状況が確認されます。
そんな建設業許可と厚生年金の加入義務の関係について解説します。
このような方に向けた記事です
- 厚生年金の加入が必要なのはどのような場合か知りたい方
- 建設業でも厚生年金の加入が必要なのか知りたい方
- 建設業の一人親方は厚生年金に加入する必要があるのか知りたい方
- 厚生年金の加入と建設業許可の関係について知りたい方 など
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厚生年金とは
65歳以上になると、老年年金を受け取れるようになりますが、そのためには、若い時から年金制度に加入して、保険料を支払う必要があります。
日本の年金制度は、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建て制度となっています。
国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金です。
厚生年金は、企業で働いている人や公務員などが加入する年金です。厚生年金に加入している人は自動的に国民年金にも加入していることになります。
厚生年金に加入する必要があるケースとは?
厚生年金保険の適用を受ける事業所で働く70歳未満の方が厚生年金保険の被保険者になります。
具体的には、次のような立場の方です。
- 常用的に使用される人
- パートタイマー・アルバイト等でも常用的使用関係にあり、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である人(※例外あり)
建設業の会社で働いている方も、常用的に雇用されている場合は、原則として厚生年金に加入する必要があります。
※短時間労働者の社会保険加入(いわゆる適用拡大)は、事業所規模に加え、週所定労働時間や賃金など一定の要件を満たす場合に対象となります。(※要件は改正されることがあります)
厚生年金保険の適用を受ける事業所とは?
厚生年金保険の適用を受ける事業所を「強制適用事業所」といいます。
強制適用事業所に該当する場合、厚生年金保険への加入手続が必要になります。主な対象は次のとおりです。
- 会社の場合
- 法人事業所(株式会社、合同会社、有限会社などの法人形態である場合。)
- 個人事業所の場合
- 常時5人以上の個人事業所(個人事業主でも常時5人以上の従業員を雇っている場合。)
株式会社などの会社を設立している場合は、社長一人だけの一人株式会社でも厚生年金に加入する必要があります。
個人事業所の場合は、業種や従業員数などの要件により、強制適用事業所となる場合があります。
建設業は法定17業種に該当し、原則として常時5人以上で対象になります。
建設業の会社や個人事業主でも、この点に変わりはありません。
※個人事業所には非適用業種等の例外もありますが、建設業は法定17業種に該当するため、原則として上記のルールに沿って判断されます。
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建設業許可と厚生年金の関係
現在では、建設業許可を取得するためには、「適切な社会保険等へ加入」しなければならないことになっています。
適切な社会保険等とは建設業法上での名称ですが、内容を分解すると下記のように3つの保険の総称となります。
| 名称 | 内容 |
| 社会保険等 | 厚生年金保険 |
| 健康保険 | |
| 雇用保険 |
建設業許可の申請(新規・更新)では、適切な社会保険等への加入状況が確認されます。適用事業所に該当するにもかかわらず未加入の場合、原則として加入(是正)と、加入状況が分かる書類の提出が求められます。
令和2年10月1日以降は、申請時に社会保険等の加入状況の確認が行われるため、未加入のままでは手続が進められない、又は保留・是正指導となるケースが一般的です。
過去には加入義務のある強制適用事業所であるにも関わらず、厚生年金を始めとした社会保険等に加入していない建設業者が存在はしていましたが、令和2年10月の法改正により、社会保険等への加入状況を証明する書類が申請時の必要書類となったことより、今では加入無しで新規許可申請や更新許可申請を受けつけられる事はなくなりました。
つまり、現在においては適用事業所である建設業者で厚生年金保険に加入していない事業所は原則ないという事になります。
例外として、個人事業所で強制適用に該当しない場合、事業主本人や従業員は、立場や働き方に応じて国民年金等の対象となるのが一般的です。
建設業許可における厚生年金の適用対象外とは?
ここまでは適用対象となる強制適用事業所について説明をしてきましたが、ここでは適用対象外となる場合について説明をしていきたいと思います。
厚生年金の加入義務がない個人事業所の建設業者は、適用対象外の事業所という場合があります。これまでは「適切な社会保険等」に加入していることが求められましたが、適用対象外の場合にはそのルールの枠外の扱いとなります。
厚生年金で適用対象外となるのは次の場合です。
個人事業所で、常時5人未満なら強制適用事業所とはなりません。
(法定17業種の場合)
個人事業所で従業員数が常時5人未満など、厚生年金の強制適用事業所に該当しない場合は、厚生年金への加入義務は生じません(※個別事情によります)。
ただし、任意適用などにより加入できる場合もあるため、判断に迷う場合は年金事務所等に確認しましょう。
なお、法人事業所や、個人事業所でも強制適用の要件に該当する場合は、原則として加入が必要です。
どのような状態のことを指すのかを表形式にするとわかりやすいかと思います。下記で理解を深めてみてください。
| 法人 | 個人事業主 | ||
| 常時5人以上の者を使用する事業所 | 5人未満の事業所 | ||
| 法定17業種 (建設業該当) | 強制適用事業所 | 強制適用事業所 | 強制適用の対象外 任意適用は可能 |
※個人事業所が強制適用に該当しない場合でも、要件を満たせば任意適用により(健康保険・厚生年金に)加入できることがあります。常時5人以上の判断は実態によります。
建設業の一人親方と厚生年金の関係
建設業の一人親方は、個人事業者として請負で仕事を行うケースが多く、従業員を雇用していない場合には、通常は厚生年金ではなく国民年金の対象となります。
健康保険は市町村国保のほか、国民健康保険組合(いわゆる建設国保)に加入している場合もあります。
また、労災については任意で一人親方労災(特別加入)を利用するケースがあります。労働保険事務組合というところへ特別加入の申込みをするのですが、ご不明な方は弊所でも特別加入を受け付けていますので必要時はご相談ください。
| 年金 | 健康保険 | 労災 | |
| 法人 | 厚生年金 | 協会けんぽ 国保組合(建設国保等) | 労災保険 |
| 個人事業者 | 国民年金 | 国民健康保険 建設国保等 | (任意加入) 一人親方労災特別加入 |

偽装一人親方と厚生年金の関係
建設会社の中には、社会保険の負担などを減らす目的で、十分な経験を有しない従業員を一人親方として独立させて、下請けとして働かせているケースもあります。
いわゆる、偽装一人親方です。
国土交通省が発表している社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインによると、次のいずれかに当てはまる場合は、偽装一人親方に該当する可能性があるとされています。
- 年齢が10代の技能者で一人親方として扱われているもの
- 経験年数が3年未満の技能者で一人親方として扱われているもの
- 働き方自己診断チェックリストで確認した結果、雇用労働者に当てはまる働き方をしているもの
偽装一人親方の形態で働かせていることが発覚した場合は、公共工事の建設現場などで働くことができなくなることもありえますし、状況により何らかの処分をうけることにもなりうるでしょう。
こうした事態を防ぐためには、適切な雇用形態で働かせると共に必要な社会保険に加入することが大切です。
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まとめ
建設業のおける厚生年金の加入義務について解説しました。
建設業の会社(法人)であれば、従業員数に関わらず、厚生年金への加入が義務付けられています。
また、適用事業所に該当するにもかかわらず厚生年金保険に未加入の場合、建設業許可の申請(新規・更新)では、原則として加入と加入状況が分かる書類の提出が求められます。
令和2年10月1日以降は、申請時に社会保険等の加入状況の確認が行われるため、未加入のままでは手続が進められない又は保留・是正指導となるケースが一般的です。
当事務所は、静岡県の行政書士と社会保険労務士の事務所であり、建設業者の建設業許可取得や社会保険の加入手続きなどをサポートする専門家です。
静岡県内の建設業者様で、厚生年金に関してお悩みのことがあれば、どのようなことでもご相談ください。






