特定活動46号
特定活動46号の概要
特定活動46号とは?
令和元年の特定活動の告示の改正により新設された新しい在留資格で、日本の大学を卒業・大学院を修了した留学生の就職支援を目的としたものです。また、日本政府としても優秀な外国人材の定着を促進することで日本経済を活性化していこうという動きがあり、具体的には留学生の日本での就職率(2016年時点)3割を5割へ引き上げていくため、新在留資格が閣議決定がされました。
それによりできたのが特定活動(46号)、以下「特定活動46号」です。
特定活動46号ガイドライン
本邦の大学又は大学院を卒業・修了した留学生(以下「本邦大学卒業者」という。)の就職支援を目的として,法務省告示「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」の一部が改正され,本邦大学卒業者が日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務を含む幅広い業務に従事することを希望する場合は,在留資格「特定活動」による入国・在留が認められることとなりました。
留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン
優秀な外国人材が
日本で働きやすくするために
作られた在留資格ですね。
「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは?
日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務
単に雇用主等からの作業指示を理解し,自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず,いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務や,自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ,他者との双方向のコミュニケーションを要する業務であることを意味します。
留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン
ポイント
- 翻訳・通訳の要素のある業務
- 自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語力が求められる業務
- 他社との双方向のコミュニケーションを要する業務
これだけでは不十分
- 受動的な業務では不可
- 言われたことをやるだけでは不可
この在留資格と対比としてあがる在留資格が「技術・人文知識・国際業務」です。技術・人文知識・国際業務の特徴の一つとして、原則単純労働が禁止という事があげられます。対して、特定活動46号はこの単純労働に対して広く取られますため、これまで就労できなかった業務への従事も一定の範囲で可能となります。つまり、企業での経験や活躍できる場が広がる事になります。
このように在留資格における就労制限は緩和されるため今まで以上に幅広い業務を行う事ができるようにはなりますが、その分その在留資格を得られる人材には高度な条件があり、これをクリアしないと取得ができないというものであります。
取得の要件
下記に該当する人がこの在留資格を取得できることとなります。
働き方について
許容される働き方
別表十一に掲げる要件のいずれにも該当する者が、法務大臣の指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事するものを含み、風俗営業活動及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事するものを除く。)
「特定活動(告示46号)」概要 第46号より
ここでは働き方の事について書かれています。また、次に出てくる別表十一という表に該当する人である必要もあります。
まずは下記条件に合う必要があります。
求められる働き方
- 法務大臣の指定する日本の公私の機関(会社等)と契約
- その会社等で常勤の職員(フルタイム)
- その会社等での業務に従事する活動
上記の条件に合っても、下記の働き方は不可です。
不可とされる働き方
- 派遣等他の場所での勤務は不可
- パート、アルバイトは不可
- 風俗営業活動は不可
- 法律上資格が必要な業務は不可
求められる人について
先ほど出てきました別表十一についての説明書きです。
別表第十一
一 本邦の大学(短期大学を除く。以下同じ。)を卒業し又は大学院の過程を終了して学位を授与された事
「特定活動(告示46号)」概要 別表第十一より
二 日本人が従事する場面に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける事
三 日常的な場面で使われる日本語に加え、論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面で使われる日本語を理解することができる能力を有していることを試験その他の方法により証明されていること
四 本邦の大学又は大学院において習得した広い知識及び応用的能力等を活用するものと認められること
ここではどのような人が求められるのか?ということが書かれています。
下記のいずれかの条件に合うことが求められます。
条件に合う人
- 日本の4年生大学卒業+学位
- 日本の大学院を修了+学位
- 日本人と同等額以上の報酬
- 日本語の日常会話+やや複雑な日本語
「日本語の日常会話+やや複雑な日本語」とは?
下記のいずれかに該当する人がそれになります。
- 日本語能力試験N1を持っている人(旧試験制度の「1級」も対象)
- BJTビジネス日本語能力テストで480点以上の人
- 日本の大学又は大学院で日本語を専攻して卒業
- 海外大学で日本語専攻+日本の4年制大学の卒業・大学院を終了+学位
日本語を専攻したっていうのは
どういう意味なの?
“日本語に係る学問(日本語学,日本語教育学等)に係る
学部・学科,研究科等に在籍し,当該学問を専門的に履修したこと”
とされています。
条件に合わない人
- 日本の短大は不可
- 日本の専門学校は不可
- 海外の4年生大学卒業のみは不可
- 同様の仕事をする日本人よりも低い報酬は不可
短大、専門学校、海外の大学卒は
技術・人文知識・国際業務ではよかったと
思ったんだけど…
そうなんです。特定活動46号では
日本の4年制大学、大学院以外は
不可となっているんです。
職務として求められる要件
条件に合う職務
本邦大学卒業者が本邦の公私の機関において,本邦の大学等において修得した広い知識,応用的能力等のほか,留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として,幅広い業務に従事する活動を認めるものです。
留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン
条件に合う職務
- 日本の大学等で習得した広い知識を活用
- 日本の大学等で習得した応用的能力等を活用
- 留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用
技術・人文知識・国際業務と特定活動46号の違い
参考:技術・人文知識・国際業務で求められる職務
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項,芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで,企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)。
該当例としては,機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師など。
出入国在留管理庁HP 技術・人文知識・国際業務より
技術・人文知識・国際業務の方が
求められることが
具体的な感じがするのぉ~
そうなんです。
この文言の違いからも
特定活動46号は幅広く
受け入れられる感じ
しますよね。
技術・人文知識・国際業務での
単純労働は禁止なんだよね。
ええ。原則禁止です。
例外として可能な場合が
ありますが、
いろいろ難しいです。
特定活動46号ならいいの?
主としての単純労働はダメですが、
従としての場合はokです。
それでもダメなものもあります。
比較のまとめ
技術・人文知識・国際業務 | 特定活動46号 | |
在留期間 | 5年、3年、1年、3月 | 5年、3年、1年、6月又は3月 |
永住権への期間加算 | あり | あり |
家族の滞在 | 可(扶養を受ける配偶者又は子) | 可(扶養を受ける配偶者又は子) 特定活動(本邦大学卒業者の配偶者等) |
就労活動 | 派遣も可 | 契約機関の業務のみ |
契約形態 | 雇用、派遣、請負、業務委託等 | 常勤(フルタイム)のみ |
資格外の活動(単純労働) | 実務研修と入管に認められる範囲内 | 左記よりも広く認められる |
転職時 | 資格内の業務であれば変更不要 | 会社が変わるときに要変更 |